第4回図書館系勉強会「文学研究ガイカン」
2011/10/23 記録の間違いを一箇所訂正しました
同日に連続更新になってしまいましたが、筑波大学の隅っこで開催する第4回図書館系勉強会「文学研究ガイカン」の記録になります。今回の記録はhumottyがとっております*1。
今回の勉強会は、普段図書館情報学を専門にしている分、よく知らない文学ってどうなってるんだろう?という視点からの発表で、自分では思いもよらなかった発想で、すごいなーと思いました。自分だけでなく、いろんな人で勉強会を開催しているからこそだと思います。
今回も同様に、個人の主観の入った調査による発表であること、またそれが他人が聞き取れる範囲での記録になっていることをご理解いただきつつ、ご覧いただければと思います。
発表の動機
- 図書館について研究しています、というと
- 本が好きなんですか?私は純文学が好きです。などの反応
- 文学について知らなければ「私は文学研究ではない」といえない
- 図書館には「9類文学」の割合が多い
- 「図書館=文学」ではないが、少なからず理解が必要なのではないか?
文学とは何か
- 子供に話す場合
- 物語や詩、演劇
- 大人に話す場合
- 様々な定義がある
- スライド参照
- アントワーヌ・コンパニオン
- 「印刷されたもの、つまり図書館が所蔵する書物すべて」
- 様々な定義がある
学問体系の中の文学
- 一般的な学問体系(自然科学、人文科学、社会科学)
- 文学は人文科学
- 自分は「社会科学」を勉強していると思っている
- 教育学などは、複数の分野にまたがっている。諸説あるが、文学は人文科学というのが一般的
大学での「文学」の授業
- 森鴎外『普請中』
- 国家と国家を整えている人に例えて、国が発展途上という国家観を示している。
- 小説は読者とのコミュニケーション
- 文学は著者が何を言っているのかを考えるものなのか?
文学研究の分類
- 文学研究
- 詩学:テクストの効果を説明する
- レトリック
- 文献解釈学:テクストが何を意味しているのかを問う
- 文献学
- 解釈学
- 詩学:テクストの効果を説明する
- レトリック:四大転技法
- メタファー;類似性によって結びつける
- 例)人生は旅である
- メトニミー;隣接性によって結びつける
- 例)女王と王冠
- シネクドキ:全体を部分で置き換える
- 例)「手が足りない」
- アイロニー:うわべと実像を併置する
- メタファー;類似性によって結びつける
意味を決定するもの
- 意図
- 作者の人が伝えたいとおもっている内容
- テクスト
- 作者の意図に関わらず読み取れるもの
- コンテクスト
- 状況、歴史、環境など背景
- 読者
- 読者がどう受け取ったのか
- 意味は複雑で、とらえどころがない
文学の理論は相対主義
- 妥当性の問題
- 立場をはっきりさせ、妥当性を評価する
調べてみて
- 人文科学分野の中の他の学問との重なり
- 哲学、言語学
理論とは何か?
- 研究で「理論をしっかりしてください」と言われるが…よくわかっていない
- 理論は学際的である
- もともとの学問分野を超えて影響力を持つ
- 言語、意味、主体に何が関係しているのか
- 常識、自然と思われている概念を批判する
発表を終えて
次回
次回はhumottyがアメリカの図書館の仕組み、図書館法などについて発表したいと思います。
第3回図書館系勉強会の記録「山中湖情報創造館レポート:図書館ブランディングの観点から」
筑波大学の隅っこで開催している図書館系勉強会の第3回のものの記録になります。…実はこの文章を書くのも3回目です。一度は下書きの段階で消し、二度目は公開後に手違いで消去してしまいした。ブクマしてくださった方、スターを付けてくださった方、本当に申し訳ありませんでした。
今回の記録は「かたつむりは電子図書館のゆめをみるか」で有名なid:min2-flyさんに取っていただきました*1。
実は、この「図書館学の門をたたく」もみんつーさんに憧れて4年前に始めたのでした。ということも相まって、このブログにみんつーさんの記録を掲載するという行為に感無量な自分がいます。
今回の発表は図書館の見学のレポートなのですが、写真も豊富で、スライドのデザインも素敵なので、ぜひぜひごらんいただければと思います。これまでと同様に、主観を交えた勉強会の記録ということをご了承ください。
発表の記録
はじめに
今回の発表は遠足の作文な感じ。ゆるい感じでお願いしたい。
山中湖情報創造館は以前から行きたかった。機会があったので行ってきた。
山中湖情報創造館の紹介
情報創造館の訪問レポートは数多い
- 今回の力点・・・山下さんの得意分野
- 指定管理者が運営している図書館
- 地方公共団体における図書館の位置づけ
山中湖村における情報創造館の位置づけ
- 情報創造館の方針:webより
-
- 「人々の創造性のための公共図書館」
- 「常に前向きで能動的に生きるには創造的に生きることが必要」
- 「専門集団による支援体制が必要」
- 創造性を刺激するための情報創造館と、それを支援するための専門家集団
- 「人々の創造性のための公共図書館」
山中湖情報創造館のサービス
- 山中湖〜高等学校の設置・・・いわゆる公民館的スペース
- 村民が集まる場の提供(公民館は村にない)
- 勉強会・町内会の集まり・企業の会議等
- 壁くらいのプロジェクタがある
- 利用料が収入源の一つになっている
- 減免とかがあるので収入源としてはあんまり良くないかも by 丸山さん
- 情報創造館は設置当初から指定管理にする前提があった
- 他でも作って費用対効果がいいのかは疑問だけど、こういうやり方はある
- 無線LAN敷設・飲食も可能
- おじいさんがおむすびを食べていたりする
- 図書館には閲覧席がないので、学習などはこちらで
-
- 山下さんの所見:
- 併設施設で使用料を徴収し収入するという着眼が新鮮
- 図書館以外の施設で収入を得られるなら民間企業でも指定管理に参入してくるのでは?
- 生涯学習講座を開催する企業
- コンベンション業者
- 山下さんの所見:
- 地域資料の収集
- 情報創造館ができる前は公民館図書室(ほぼ児童書)しかなかった
- 地域資料の中身:
- 富士山・・・寄贈図書も多い/棚2つ分くらい富士山資料・大量の富士山グッズ/山岳資料も多数
- 美術
- 近隣の県や街の資料・広報
- 自然広報など種類もいっぱい
- じゃらんのバックナンバー
- 観光客向け資料は別にある
-
- 山下さん所見:
- 会館から10年でこれは凄い
- 近隣の町の資料も多い・・・交流の関係
- 観光地にとって自分の街を知ることは重要、一箇所に情報があって誰でも見られるのはすごい
- 今後の観光地としての発展を考えるにも寄与するのでは?
- 山下さん所見:
- 観光客向けの情報提供
- 入ってすぐに富士山資料
- 観光客がぱっと読める本と地域的資料がどっちもある
- 周辺のごはん屋さん情報
- 館内向け無線LAN・・・誰でも(村民以外も)利用できる
- webでも観光客の利用も推奨
- 周辺は観光施設が密集する地域・・・図書館と知らず入ってくる人も/休憩所としてもありがたい?
- 入ってすぐに富士山資料
-
- 所見
- 閲覧席の少なさは長時間滞在には向かないかも?
- 所見
地域における山中湖情報創造館の話はここまで。
山中湖情報創造館の図書館ブランディング
- コンセプト
- 創造性を刺激するには・・・
- 思わず利用したくなること
- いろんなところからアイディアがふってくること
- 図書館自体の創造性
- 創造性を刺激するには・・・
-
- これまでブランディングなど考えてこなかったが、情報創造館で考えが変わった
- 館長・丸山さんのお話
-
- 建築の話は色々とある
- 『触発する図書館』など
- でも運営するうちにださい張り紙が増えたりして統一感が消える
- ALAの出しているような図書館ブランディングの本が増えればいい
- 建築の話は色々とある
-
- グッズ販売を増やしたい
- アメリカでは普通にあるのになんで日本ではないんだろう?
- グッズ販売を増やしたい
- 山下さんの所見
- 狭いし行きにくい場所だけど、滞在していて居心地がいい
- いいサービスはいい雰囲気から/目に止まるような情報発信の仕方が自分の中に飛び込んでくるのが居心地の良さにつながっている?
- 指定管理者制度を導入している図書館としては・・・
ディスカッション
- Q. 最初から情報創造館って名前だったの?
- A. 最初から関わっていた人の意向がかなり反映されている。当初から図書館っぽい図書館じゃなくしよう、ってのはあったのでは?
*1:図書館系勉強会の記録はこのブログにまとめておいたほうが良いのでは、ということでこちらで公開することになりました。
第2回図書館系勉強会の記録「図書館法について:明治初期からみる図書館法」
筑波大学の隅っこで第2回図書館系勉強会を開催したので、その記録を公開します。勉強会についてはこちらをご覧ください。
なお、前回と同様に今回の記録及び勉強会の内容は、個人の主観的内容であり、自分の理解した範囲のみでの記述になります。さらに今回は自分の発表分ですが、解釈の違い、転載ミスなどから内容が間違っている恐れもあります。その点あらかじめご了承いただき、ご覧ください。
発表の記録
発表の動機
- 意外と図書館法について勉强する機会がない
- 以前は「図書館概論」という授業があったが、学類改組と同時になくなってしまった
- 今(知識情報・図書館学類)では授業で詳しく学ばない
- しかし、図書館に関わる以上その内容及び理念を理解すべきではないか
- なぜならば、最近起こる公共図書館に関する問題、例えば図書館同種施設についても、図書館法制定時の理念が関係している
- 図書館法の理念を理解するには、図書館法制定以前から追う必要がある
図書館令
- 許認可権
- 職員
- 1906(明治39)年改正:法令上「司書」を初めて規定
- 1921(大正10)年:公立図書館職員令
- この命令により、上野に図書館員教習所が設置された。これが後の図書館情報大学となり、自分たちが通う筑波大学知識情報・図書館学類となる。そのため、今年は”図書館学校設置”90周年にあたり、記念展示や講演会などが行われた。
- 1933(昭和8)年改正
- この昭和8年の改正は今後の図書館に最も影響を与えた改正
- 中央図書館制度の設立
- 公立図書館職員令:公立図書館司書検定試験を規定
- 受験科目なども細かく規定していた
戦後日本
- 1947(昭和22)年 日本国憲法の発布
- 図書館令など、それまでの命令を廃止
- 公立図書館職員令は昭和21年に大幅な改正がされており、実質的にそれまでの効力のほとんどがなくなっていた
- 図書館令など、それまでの命令を廃止
- 1950(昭和25)年4月 図書館法制定
文部大臣「図書館法提案について」
- 図書館法の内容について述べている
- 国民に奉仕すべき機関としての図書館の性格を規定
- 図書館職員養成の制度の確立
- 国庫補助の規定
- 私立図書館に不当な統制干渉を及ぼさないように規定
西崎社会教育局長「図書館法案について」
- 図書館法制定時の意向や条文の内容について詳しく解説している
- 図書館法は図書館の設置及び運営に必要な事項を定める
- なぜ社会教育法に図書館法が組み込まれなかったのか?
- 社会教育法に組み込まれるものであったが、別途検討すべき課題が多かったので単独法とした
- なぜ法律で図書館の義務設置を規定しなかったのか?
- 地方財政に過大な負荷はかけられず、また義務教育の充実に努力すべき段階であるので、図書館を義務設置にはしなかった
- 図書館法上の図書館と個人の設置する図書館の違い
- 個人の設置する図書館は図書館同種施設とする
- 図書館同種施設は個人による設置などその継続性に疑問があるものを対象にしている
- つまり、近年問題となっている首長部局が管理する地方自治体の図書館は、図書館法制定時は図書館同種施設として想定されていなかった
- なぜ図書館は学校などとは異なり、名称独占(他の組織、個人がどの名称を使用してはいけないこと)ではないのか?
- 「学校」という名前は詐欺などの誤解の恐れがあるが、「図書館」という名称は第3者が用いても不利益がないため
- この規定があるため、「図書館カフェ」などが存在しても問題ない
- なぜ「公共図書館法」ではなく「図書館法」なのか?
- 図書館の目的として、新たに「レクリエーション」が追加されたことに対して
図書館法にまつわる話題
- 図書館法が制定されて以降、図書館界でどのようなことが話題になっていたか
- 1940年代 図書館法制定過程における議論
- 1950年代 図書館法改正問題
- 図書館の義務設置など、図書館法に含まれず不満だった内容を求めて図書館法改正運動があった
- 1970年代 社会教育法への図書館法統合問題
- 1980年代 図書館事業基本法問題
これらの話題は全て、「国家統制と地方自治原則をめぐっての議論」と「図書館と社会教育の関係に関わる議論」の2点からなっている。
これまでの図書館法改正
1980年代後半から、それまでほとんど改正されなかった図書館法が何度も頻繁に改正されるようになる。その改正内容も、地方主権または社会教育に関する観点からの改正である。
- 1986(昭和60)年図書館法改正
- 2003(平成15)年図書館法改正
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律制定による改正
- 指定管理者制度の導入が可能に
- 2008(平成20)年図書館法改正
- 社会教育法等の一部を改正する法律制定による改正
- 教育基本法改正を踏まえた規定整備。「家庭教育の向上 に資する」 など
- 「図書館の設置及び運営上望ましい基準」を文部科学大 臣が定め、公表する条文の追加
- 第5条1項1号及び2号の順序を変え、司書資格の講習より も大学での取得 を優位とする
- 図書館資料の収集対象に「電磁的記録」を明文化
- (2009年図書館法施行規則改正)
- 司書資格取得単位数の増加
- 2011(平成23)年図書館法改正
- 図書館協議会について
以上のように、1980年代後半からの図書館法改正は、地方主権拡大かもしくは社会教育関連のものである。図書館法制定以来の議論からみても、この2つが図書館法に大きく関わっているのは間違いなく、今後もどのように図書館法が改正されていくのか興味深い。
おわりに
初めて、勉強会のように調べたことを人前で発表する形式にチャレンジしてみました。本などを読んで理解した気になっていても、実際他人に話して聞かせようとすると意外と理解していなかったり覚え間違ったりしていて、なかなか上手くいきません。題材が図書館法という奥の深いもので生半可にもいかず、もっと時間をかけて詳しく調べられれば良かったと後悔してしまいました。こういう機会を活かして、次もしっかり勉強したいと思います。
さて、次回は第3回図書館系勉強会として、2011年10月14日(金)に「山中湖情報創造館レポート:図書館ブランディングの観点から」というタイトルで発表して頂きます。お時間のある方は、ぜひぜひラーニングコモンズまでお越しください♪
ではでは
第1回 図書館系勉強会の記録「日本における図書館員の研修状況」
筑波大学の隅っこで図書館系の勉強会を開催しました!その記録を公開します。勉強会についてはこちらを御覧ください。
なお、今回の記録及び勉強会の内容は、個人の主観的内容であり、自分の理解した範囲のみでの記述になりますので、あらかじめご了承ください。それでもよろしければ、どうぞ!
発表の記録
研究の動機
- 図書館員の専門性って何だろう?
- 現場で働いている人は経験や知識もあるが、それは専門性といえるのか?
- 司書資格は、専門性の担保といえるかはわからないが、一種の指標ではある
- 現場に行った友達の話
- 図書館について全く勉強したことのない人も一緒に働いている
- そういう人も2,3年働けば一緒だよと言われる…自分が勉強してきたものは何だったんだろう?
- 技能を向上させるには研修など継続教育が必要ではないか
- 正規だけでなく、非正規など雇用形態なども様々
- アメリカと違い、日本はゼネラリスト。様々な仕事に携わる
- 研修に関しても、包括性と統括性を兼ね揃えたプログラムが必要!
研修状況
- Q.2010年に行われた日本における図書館関係の研修、シンポジウム、研究会の数は?
- 1. 200、2. 380、3. 750、4. 1060のうちどれだろう?
- 正解は…1060(1068)!
- 一日に3つあるペース。これは非常に多いのではないか
- 主な研修(スライド参照)
- 一言に研修といっても、館種や勤務歴など様々なものがあるし、継続のもの、全国規模から館内研修まで非常に様々なタイプの研修が実施されている
大学、公共、専門図書館で継続的に行われている研修を紹介する
- NII学術ポータル担当者研修
- 全国規模(2会場)で知名度も高い
- 大学図書館員長期研修
- 中堅職員ステップアップ研修
- 経験年数に合わせて2つの研修がある(勤務年数3年/7年ー)
- 理論よりも実践を重視したマネジメント中心
- 私費
- 図書館司書専門講座と関連(研修2を受ける条件として認められる)
- イブニングセミナー
日本の研修の概観
- 研修の数、実施している機関が多い
- 研修館の連携はあまりない
- 研修が受講者の所属館、図書館界全体のレベルアップにつながっているか?
- 研修の効果を認めてもらえないケースもある?
- 手先のハウツー、実践的な内容ばかりに偏っていないか?
- 一般論として基本的な部分を軽視していないか?
- 継続的なテーマ設定は難しい
- 日常との業務の兼ね合いにより、長期の研修は難しい
日本の研修の課題
- 研修を統括する団体または委員会などが必要ではないか
- より包括性、統括性のある継続的プログラムをつくる必要がある
- 研修による認定制度の整備
- 個々人のキャリアアップをよりサポートできるようなe-Learningの整備も必要
- 図書館員に求められる技能とは何だろう?
- 最近は汎用的能力が話題。社会人に求められるような企画力なども、図書館員に必要なのではないか
- 専門性があるからこそ、基礎的な能力を
- 最近は汎用的能力が話題。社会人に求められるような企画力なども、図書館員に必要なのではないか
- LIPER報告書
- 情報専門職についての研究だが、あんまり有名ではない
- 図書館員に求められる技能を考える上では必読
- コア・コンピタンス
- 永田先生が研究されてらっしゃっていた
質疑応答
- Q. 図書館職員が移転などでころころ変わっている図書館では、職員の人は研修に参加できないのか?
- A. 最近は、非正規職員でも研修に参加しているひともいる。勤務歴や正規職員の縛りがある研修には参加できないが、小規模・中規模な研修に行っているのでは。
- 非正規職員が積極的に研修に行っても待遇に反映されなければ、それこそ専門性とは何だったのかという話になるのでは
- TRCは研修などを受けると時給が少し上がるらしい
- ALAはしっかりしている、IFLAにもラウンドテーブルがあるらしい
- e-Learningもしっかりしている
- アメリカではe-governmentなど、電子的なものが流行っている
- ALAの資金源はどうなっているのか…
- Q. 図書館職員の研究として、どういう方向性を考えているのか?
- A. とりあえず現状把握。現状を把握した上で傾向などを指摘できれば
- 文科省の図書館関係予算でも、研修に関する費用は長期的に結構な額をとっている。その成果がどうなっているのか疑問
- 講演の回数は多い。そしてうちの先生たちも多い
- やっぱり筑波大はメッカなのかも
(以下雑談)
初めて図書館系の勉強会を開催したのですが、一時間みっちり図書館について勉強したり話すのが新鮮で、とても楽しめました。これが第一回なのですが、できれば今後も続けていきたいと思います。
次回は10月7日(金)に筑波大学春日キャンパスラーニングコモンズで「図書館法について」やります。お時間のある方はぜひぜひどうぞー
筑波大学情報学群知識情報・図書館学類90周年記念展示のお知らせ
筑波大学情報学群知識情報・図書館学類が今年90周年を迎えたことを記念して、学園祭に合わせて講演会及び記念展示を行います。
"図書館学校"創設90周年記念事業
- 記念講演会
- 「読書と知識 生きる喜び」
(公演終了後、サイン会を予定)
- 記念展示
- 「知識情報とメディアの世界」
実は、上記の記念展示の方のポスターは自分が作成いたしました。
ポスターの構想からデザイン・制作まで全てを一人で行ったのは初めてで、どきどきでしたが、なんとか人前にお出しできるようなポスターにすることができて良かったです。
知識情報・図書館学類は、図書館情報大学、ひいては図書館員教習所や図書館職員養成所をその前身に持つ歴史の深い学び舎です*1。
自分もそこで学んだ一員として、この記念行事のお役に立てたことが嬉しく、またその歴史を感じる展示が楽しみでなりません。ちょうど筑波大学の学園祭(2011年10月8-10日)とも時期が同じですので、遊びに来たついでに、ぜひ皆さんも展示会場に足をお運びください♪
図書館法が改正された件について
2011年8月26日に「図書館法改正を伴う法案が衆議院通過した件について」なんて記事を書いていたところ、同日にその法案が成立していました(遅い)。
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号)(第2次一括法)は、平成23年8月26日に成立しました。
(ウェブサイトへの情報掲載は8月30日)
第2次一括法の該当部分や図書館法の改正内容については前回の記事で詳しくみていますので、よければそちらをご覧ください。
要約すれば、地方自治体の住民、関係者であれば誰でも図書館協議会に参加できるし、任命基準なんかもある程度(文部科学省令を参考に)自分たちで決めて良いよ、という図書館法改正です。
これに対する懸念も前回述べた通りですが、この図書館法改正は図書館協議会の制度に影響を与えるのか、また関係者にこれをどう周知していくのか、気になる話題ですね。
片山総務大臣のインタビューレポートまとめ/地域主権の時代の図書館のあるべき姿
第13回図書館総合展のWebサイトにて、第12回図書館総合展の際に行われた片山総務大臣へのインタビュー動画のレポートが公開されています。
上記のレポートでは、インタビュー動画を各人の発言のままに記録をとっていました。
そこで、片山総務大臣の話の内容に絞り、何についてお話されていたのかを、普段のレポートのように構造化して分かりやすくまとめてみようかなと思います。
以下の内容はインタビュー内容を見た上で公開されているレポートに沿った形でまとめたもので、複数の過程を経ているため大臣の意図したことを正確に汲み取れていない可能性もあります。
おかしいな、など感じましたら、ぜひ元のインタビュー動画の方をあたっていただければと思います(ご指摘いただければ修正します)。
片山総務大臣がお話ししていたこと
- 首長や議員に期待すること
- 住民の要望に沿った政策をとる、という原点を見失わないこと
- 議会が自治体のチェック機能を有効に果たすこと
- 議会図書室や県庁内図書室について
- 議会図書室の設置は地方自治法第100条で定められている
- 中央官庁が提供した資料に拠ると、中央官庁寄りの政策ができてしまう
- 中立な立場からの資料提供を担えるのは図書館
- 図書館を有効に使うには、優秀な司書が必要
- 「新しい公共」と図書館のつながり
- 新しい公共とは、市民の力によって必要なサービスを提供すること
- 資金は、寄付金など役所に頼らない形で提供されるのが良い
- そのための税制改革など制度を整える必要がある
- 情報や資料の入手場所としての図書館も重要
- 図書館でマニュフェストが手供できないという制約
- 知らなかった。詳細を調べて検討する
- 学校図書館について
- 地域活性化交付金の図書館での活用
- 補正予算は経済の回復のため、今までハード事業に割かれていた
- しかし、知的な分野にも必要である
- 消費者行政、DV被害者対策と同様に、図書館など声の小さい分野でも力を入れていきたい
- 弱い地域での補助
- 道路も重要だが、図書館を整備して欲しいと考える住民は必ずいる
- 今まで冷遇されてきたのを怒ってもいいくらい。やっと認識が変わった
- 全国図書館関係者へのメッセージ
- 本来自治体は住民が必要とするべきことを行うのが仕事
- 知の地域づくりを推進したい
- その中で図書館は重要な拠点になる
- 図書館関係者の皆様にも、その力を周囲に知っていただくよう働きかけてほしい
インタビューを聞いてみて
片山総務大臣は総務省のお役人でかつ図書館への多大な理解があるので、地域主権の時代の図書館のあるべき姿について簡潔かつ明確にお話ししてくださっていると思います。
片山総務大臣が述べられているのは一種の「理想」ですが、実際に現場に立つ図書館員、図書館関係者としては、目指すべき方向性がどのようなものであり、また実際にはどのような政策・条例が定められているのかということについて、理解しておく必要があるのではないでしょうか。
個々人の思想主義とは別にして、時代の流れは地域主権に傾きつつある中で、図書館はどのように発展していくべきなのか。
そのようなことを考える図書館関係者にとって、「理想」が明確で分かりやすいこのインタビュー内容は必読なのではないかと思いました。