アメリカ公共図書館とその周辺の近現代史

こちらのブログに掲載するのはすっごく久しぶりですが、図書館系勉強会の記録になります。
今回は図書館情報メディア研究科の博士課程1年次の方による、「アメリ公共図書館とその周辺の近現代史」です!
  

この発表をするきっかけ

  • アメリ公共図書館の評価の歴史を調べていた
  • 評価や経営の歴史は、世の中のいろんなことに影響を受けていたので、その周辺の知識をまとめようと思った。

(一冊だけ記録し忘れてしまいました;)
  

周辺の歴史が図書館に影響を与えた事例

  

世界大恐慌

  

黒人差別問題
  • 図書館は、白人用・黒人用と分けられていた
  • 黒人用は職員も黒人である必要があったため、養成も別に行われていた
  • 館内では、中有感の利用禁止、サービスの限定、利用拒否などがあった
  • 1939年:白人の図書館で黒人の図書館カード発行拒否
  • 1944−45年:黒人の養成クラス志願を拒否
    • どちらの判例も、原告が勝訴したものの、そもそもカードの発行停止や養成クラス廃止など図書館側が受け入れを拒否した
  • ALAは1936年に差別をしないよう決議を行う
    • 1961年「図書館の権利宣言」:人種統合条項
    • 1962年「個人会員・支部資格及び施設会員に関する声明」
    • 1964年公民権
    • ALAは行政に先駆けて黒人差別を廃止しようとしていた

  

交通機関
  • 1950年台中頃:交通機関の発達が図書館に大きな影響を与えた
  • 大都市を中心に発達したことで、中産階級が郊外に流入
    • →都市部がスラム化
  • 以前大都市で充実した図書館サービスが行われていたが、その利用が激減
  • 郊外で図書館が建設されるように
  • 1956年:図書館サービス法制定
    • 人口が少ない農村地域の図書館振興を目的に
    • 連邦の援助金で図書館を振興させる
    • 図書館資源振興会議:援助金を与えるための計画・政策を提議
  • 1963年:「公立図書館のアクセス」調査
    • アウトリーチサービス開始のきっかけに。特定のサービスを受けられていない集団への調査

  

時代の空気
  • 1960年代:理想主義の時代
    • 大学紛争、消費者運動、公害闘争、女性運動
    • 1つの思想を守るというよりは、開放的な空気。実験的なサービスをどんどん実施していく
    • アウトリーチサービスが普及していく
      • →地理的なものを超えて、障害者や高齢者などに対して
  • 1970年台:現実・保守主義の時代
    • インフレ、オイルショック、財政難
    • 数字や効率の重視、サービスの切り捨て
    • 伝統的なサービスを重視し、新規サービスの抑制、有料制が検討された

  

冷戦
  • 1957年:スプートニク・ショック
    • ソビエト連邦が衛生打ち上げたことをきっかけに、科学技術政策の見直し
    • 図書館の振興政策につながる

  

911テロ

  

図書館政策と関連法案
  • 1956年:図書館サービス法
  • 1964年:図書館サービス建設法
    • 図書館ネットワークの全国的な振興
    • 農村地域だけでなく、全国を援助の対象に含めた
  • 1996年:図書館サービス技術法

  

図書館評価
  • 1940・50年代:図書館に経営の概念がなかった
    • 図書館管理職が経営の原則を知らず、目的のために組織化することも行われていなかった
  • 世界的に経営が現れたのは、1920、30年代
    • 生産性向上のために

  

最後に
  • 今回は学校や他の図書館に触れていない
    • スプートニク・ショックなどは、図書館だけでなく教育、科学政策に大きな影響を与えた
    • →科学政策の振興から、科学者から増え、文献も増えて管理が難しくなった時に、文献管理のための電子ジャーナルや電子図書館、オープンアクセス、ビッグジャーナルに繋がっていく