Grey Literature in Library and Information Studiesの目次の邦訳
Farace, Dominic and Schöpfel, Joachim. Grey Literature in Library and Information Studies, Berlin, New York: K. G. Saur, 2010.
https://doi.org/10.1515/9783598441493
灰色文献の定義を提唱されたりしているSchöpfelさんによる灰色文献について書かれた図書が全文オープンアクセスで読めます。
図書館情報学的な灰色文献を参照する際のマストバイだと思いますので、目次の邦訳を掲載しておきます。参考にどうぞ!
目次・イントロダクション(灰色文献の定義)
パート I - 灰色文献の作成、加工、および流通
セクション1: 灰色文献の作成と公開
第1章 灰色文献と情報市場:バリューチェーンとビジネスモデルの新しい見方 (Roosendaal)第2章 灰色文献の質を保証する方法:評価報告書(Evaluation Reports)の場合 (Weber)
第3章 大学が作成・公開する灰色文献:ETDs の事例 (Južnic)
セクション2:灰色文献の収集と加工
第4章 コレクションの構築、特にレポート文献について (Newbold and Grimshaw)
第5章 大学における灰色文献 (Siegel)
第6章 灰色文献が直面する著作権上の問題点 (Lipinski)
セクション 3:灰色文献のアクセスおよび流通のチャンネル
第7章 学位論文 (Stock and Paillassard)
第9章 OpenSIGLE ―灰色文献の分野における図書館、研究機関、教育機関のためのクロスロード (Farace, Frantzen, Stock, Henrot, and Schöpfel)
パート2 灰色文献の用途・応用・動向
セクション4:灰色文献の用途と利用
第10章 高エネルギー物理学における灰色文献の推進と発展的役割 (Gentil-Beccot)
第11章 国際的な海洋政府間組織が灰色文献として作成する情報の利用と影響:最近の研究の概要 (MacDonald, Wells, Cordes, Hutton, Cossarini, and Soomai)
第12章 カルスト研究における灰色文献:カルスト情報ポータル KIP の展開 (Chavez)
第13章 灰色文献のリポジトリ:開発途上国の公衆衛生活動に携わるNGOのためのツール (Crowe, Hodge, and Redmon)
セクション5:灰色文献の今後の動向
第14章 ブログ記事とツイート:灰色文献の次のフロンティア (Banks)
第15章 機関リポジトリにおける灰色文献への投資効果の評価(Schöpfel and Boukacem)
第16章 e-サイエンス、サイバーインフラストラクチャー、CRIS *1 (Jeffery and Asserson)
第17章 灰色文献の教育におけるコースと学習目標:図書館情報学教育が果たす役割 (Rabina)
Appendices
1 著者略歴
2 灰色文献のウェブベースの情報源のIndex
3 灰色文献のドキュメントタイプ一覧
4 学会発表論文(会議録)のコレクション(1993-2010)
5 テーマ別索引 - The Grey Journal, 2005-2010
キーワード索引
*1:Current Research Information System:最新研究情報システム
アメリカ公共図書館とその周辺の近現代史
こちらのブログに掲載するのはすっごく久しぶりですが、図書館系勉強会の記録になります。
今回は図書館情報メディア研究科の博士課程1年次の方による、「アメリカ公共図書館とその周辺の近現代史」です!
この発表をするきっかけ
(一冊だけ記録し忘れてしまいました;)
周辺の歴史が図書館に影響を与えた事例
黒人差別問題
- 1896年プレッシー対ファーガソン事件
- 最高裁:分離すれども平等原則
- 1954年ブラウン対教育委員会事件
- 分離自体が不平等と解釈が変わった
- 図書館は、白人用・黒人用と分けられていた
- 黒人用は職員も黒人である必要があったため、養成も別に行われていた
- 館内では、中有感の利用禁止、サービスの限定、利用拒否などがあった
- 1939年:白人の図書館で黒人の図書館カード発行拒否
- 1944−45年:黒人の養成クラス志願を拒否
- どちらの判例も、原告が勝訴したものの、そもそもカードの発行停止や養成クラス廃止など図書館側が受け入れを拒否した
- ALAは1936年に差別をしないよう決議を行う
交通機関
- 1950年台中頃:交通機関の発達が図書館に大きな影響を与えた
- 大都市を中心に発達したことで、中産階級が郊外に流入
- →都市部がスラム化
- 以前大都市で充実した図書館サービスが行われていたが、その利用が激減
- 郊外で図書館が建設されるように
- 1956年:図書館サービス法制定
- 人口が少ない農村地域の図書館振興を目的に
- 連邦の援助金で図書館を振興させる
- 図書館資源振興会議:援助金を与えるための計画・政策を提議
- 1963年:「公立図書館のアクセス」調査
- アウトリーチサービス開始のきっかけに。特定のサービスを受けられていない集団への調査
時代の空気
- 1960年代:理想主義の時代
図書館政策と関連法案
- 1956年:図書館サービス法
- 1964年:図書館サービス建設法
- 図書館ネットワークの全国的な振興
- 農村地域だけでなく、全国を援助の対象に含めた
- 1996年:図書館サービス技術法
- IT技術の普及
図書館評価
- 1940・50年代:図書館に経営の概念がなかった
- 図書館管理職が経営の原則を知らず、目的のために組織化することも行われていなかった
- 世界的に経営が現れたのは、1920、30年代
- 生産性向上のために
[図書館][勉強会]KLIS RADIOに出演しました〜図書館総合展へ
ご無沙汰しておりますhumottyです。生きてます。
記録の更新を後輩に引き継いで*1からも、細々と続いていた図書館系勉強会ですが、この度、筑波大学知識情報・図書館学類生の松野くんが主催されているKLIS RADIOの第4回配信のテーマに選んでいただきました。
本来なら、既に勉強会を継いでいただいている後輩ちゃんに出演していただくのが筋なのですが、なぜか自分がゲストとなってしまいました。ラジオの収録は初めてで興味深くて楽しかった反面、自分の声の気持ち悪さにぐぬぬしてました。誰しも自分自身の声って苦手ですよね。
そんな図書館系勉強会のお話をmin2-flyさんのかたつむりブログにも取り上げていただきました!もちろん取り上げていただいているだけでなく、毎回勉強会ではとてもお世話になっています。
図書館系勉強会は、今年は図書館総合展にもポスター出展するので、ぜひぜひ会場にいらした皆様は一度立ち寄ってください。今は勉強会もポスターも優秀な後輩が全部引き継いでくれていて、本当に後輩に恵まれて幸せものです。
後輩といえば、先日学群2年生向けに話をしたときに、自分が1年生(5年前)に作成した大学紹介冊子を今も引き継いで作っている子がいて、「”かすがらいふ”を作ってくださりありがとうございました」と声をかけていただきました。かすがらいふは自分がやりたくて始めたものだったので*2、それが今でも役に立っていると思うと、感極まるというか、大学生活を送っていて良かったなと心から思いました。ありがたいことに、先生からも「1期生としてこの学類を作った」先輩とご紹介いただいたり、そろそろ卒業なこともあって、6年間って長かったなーとしみじみ思います。いろんなことがありました。
今は、図書館総合展のウェブサイトを更新したり、相変わらず色々楽しく関わらせていただいています。Twitterはやり始めると研究とかそっちのけになっちゃうのであえて手を触れていないので、音沙汰なくてもご心配なさらないでください。
このブログは大学入学後に始めたもので、自分の大学生活の全部が詰まっていました。無事修論が提出できれば、春からは心機一転、6年ぶりの新生活になるので、ブログも変えて再出発したいと思います。といっても、図書館には一生関わっていくと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
*1:http://d.hatena.ne.jp/satkap/
*2:ALISといいかすがらいふといい、自分が名付けたものは思い入れもひとしおですよね
図書館を題材にした館種別おすすめ図書館漫画一覧
最近収集している図書館漫画をリスト化してみました。今回は図書館がメインテーマであることに焦点をあてていますが、例えば「草子ブックガイド」のように、話の一部にしか登場していないものも取り上げます。また、単に図書館が出てくるだけではなく、”図書館らしさ”を描いている漫画を集められると良いなと思います。(学校図書館、図書委員を含めると膨大になってしまいますので、「草子ブックガイド」*1以外は今回は外しました。)
図書館漫画についてのより詳細な(ほぼ網羅的な)データは図書館漫画データベース - Yahoo!ブログに集められています。このリストはそれよりももっと大雑把に、「図書館をテーマに据えた」漫画を扱ってみたいと思います。データベースの方を見ていただければわかりますが、意外と図書館を扱った漫画は膨大にあるので、今回は自分の主観と好みによるリストであることをご承知おきください。
公共図書館
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- 作者: 西炯子
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- 作者: 河路悠
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学校図書館
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私立図書館
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- 作者: 篠原ウミハル
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(注・ボーイズラブ漫画です)
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その他(ファンタジー)
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- 作者: 丸山薫
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- 作者: 赤星治人
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- 作者: 赤星治人
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図書館漫画について
図書館に関する小説はたくさんありますし、図書館を扱った漫画もたくさんあります。そこには、やはり「図書館」というテーマに魅力があり、「図書館」の文脈で語られるべきことがたくさんあるからなのだと思います。しかし、図書館に関する物語のレビューでは、「図書館」という言葉でひとくくりにされてしまいます*2。図書館には公共図書館も学校図書館も大学図書館も私立図書館もあり、その区分によってそれぞれ異なる物語があるはずなのに、その違いに言及されることはほとんどありません。それはちょっともったいないことなんじゃないかと思います。図書館というテーマに魅力があるからこそ、もう少し細かくみてみたいと思ったのが、今回のリストを作った一つのきっかけです。
もう一つは、最近のレビューにも書きましたように、自分は小説ではなく「漫画」であるということを大きな利点と捉えます。絵と簡潔なセリフで表されるということは素晴らしいことです。なぜなら、難しい言葉を知らない人でも理解でき、分かりやすく、伝わりやすく、印象強く相手に訴えかけることができることです。図書館はもっと多くの人に知られるべきだと思いますし、そのためには漫画というコミュニケーションツールを通じて多くの人に訴えかけることが有効な手段の一つなのではないかと思います。
ということで、小説や映画に比べて言及されることが少ない「図書館漫画」を集めてみました。興味を持った方は、ぜひぜひ読んでみてください。
「姉の結婚」(1/23)、「青色図書館」(1/24)を追加しました。
篠原ウミハル「図書館の主」
- 作者: 篠原ウミハル
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(以下ネタバレあり)
「図書館の主」は私立の児童図書館を舞台にした図書館漫画です。タチアオイ図書館で働く司書の御子柴くんと児童書をテーマに、図書館や物語にまつわる出来事などが描かれています。帯の文句にあるように、基本的には児童書がメインなのですが、私立といえど図書館にまつわる話も細かく描写されているのがポイントです。
例えば2巻収録の第11話「書店と図書館」では、お客さんが自分よりも御子柴くん(司書)を頼るのに嫉妬した伊崎くん(書店の店員)が「あんたんとこみたいな図書館があるから 本屋の売上が落ちるんじゃないか!!」「お前ら図書館が本を潰しちまうんだよ!」と声を荒らげて詰め寄ります。
そんなとき、伊崎くんの上司が図書館に来館し、伊崎くんは自分の勤める書店からタチアオイ図書館が図書を購入していることを初めて知ります。一冊や二冊購入したって、たくさんの人がそれを借りていくじゃないかと反論する伊崎くんに、御子柴くんは冷静に図書館が一冊に対して一年に貸し出せる人数はそう多くないことを指摘した上で、さらに言葉を続けます。
自分が好きだと思う本を見つけた子は 本を読むことの楽しさを知ることができる
本を読む楽しさを知れば 自然と読書量も増える
本を読む習慣を身につけることができるんだ
そうなると借りるだけじゃ物足りなくなる 自分の手元に置きたい本が必ず出てくる
本を読む習慣の出来た子は 自然本を買うようになるだろう
これに対して、伊崎くんの上司もこう続けます。
つまり図書館ってのは 自分で本を買って読むきっかけを与えてくれる所なんだよ
図書館で本を知って 本屋で本を買う
図書館と本屋ってのは そんな関係でありゃいいって俺は思うがね
この言葉がすごく好きになりました。図書館情報学的には貸本屋論争といって図書館と出版社の対立は重いテーマになっていますが*1、重い話に気を取られて、大切な事を忘れていたことに気付かされます。もちろん出版社の方には日々の暮らしがかかっているので、こんな安易で楽観的な考え方にはならないと思いますが、図書館も本屋も、本を読む人がいなければ成り立たないということ、何より大事なのは本への興味を持ってもらうことを実感しました。
第11話は図書館寄りな話でしたが、全体的には児童書の物語と登場人物、特に子どもとの関係などを上手く絡めて描いている漫画で、思わず児童書を読み返したくなること請負です。
ちなみに、取材協力;千代田区立千代田図書館及び国立国会図書館国際子ども図書館らしいです。図書館で学んだ人が起業家になったり本を出版したりという話は聞きますが、「夜明けの図書館」も含めて、図書館を取材して図書館漫画というのも良いですよね。
先日レビューした「夜明けの図書館」やまだ記事にできていない「草子ブックガイド」「鞄図書館」といい、最近は図書館漫画が豊作で嬉しい限りです。漫画や小説で図書館が扱われるたび、多くの人に図書館がどんな場所か、レファレンスとは何なのかということを知ってもらえます。特に漫画の良いところは、絵の描写や簡潔で力強いセリフで読者により分かりやすく、伝わりやすく、印象の強い伝達手段だということです。図書館は多くの人に知ってもらわなければ、使ってもらえません。使ってもらわなければ、その良さを知ってもらえません。でも漫画があれば、利用したことのない人でも図書館の良いところが伝わって、「行ってみたい」「本を読んでみたい」と思ってもらえます(もちろん小説も同じです)。だから図書館漫画がもっと多くの人に読んでもらえれば良いなと思いますし、これからもできるだけ紹介していきたいと思います。
*1:詳しくは「公共図書館の論点整理」
第10回図書館系勉強会「日本の刑事施設内での書籍などの取り扱いについて」
年が明けましたので、久しぶりに図書館系勉強会を開催しました!
今回の発表は今までで最年少の、学部3年生の水上さん(@hebiko)が担当してくれました。今回の記録も、個人の主観の入った調査による発表であること、また他人が聞き取れる範囲での記録になっていることをご理解いただきつつ、ご覧いただければと思います。
- 刑務所図書館ってご存知ですか?
- 刑務所図書館の人々
- アメリカやイギリスの話は聞くが、日本はどうなっているのか?
- 日本に刑務所図書館と規定されるものはない
- ではどうなっているのか?
- 刑事施設とは
- スライド参照
- 刑事施設および被収容者などの処遇に関する法律
- 自由刑及び未決拘留を執行する施設
- 刑事施設内で書籍の取り扱い
- 法律-訓令で定められている
- 書籍などの種類
- 自弁の書籍:収容者が自分で購入するなどした書籍
- 備付書籍:刑事施設に備え付けられている書籍
- 今回は備付書籍について!
- 備付書籍
- 購入予算:スライド参照
- 内容:訓令で規定されている
- 法令、教育、教養および適当な娯楽に関するもの
- 職業上有用な知識の習得及び学力の向上に役立つもの
- 貸与方法
- 貸与日を予め定めて告知すること
- 例えば以下の方法など(刑務所により異なる)
- 被収容者を図書室に連行し、開架式の書架から選択させるなど
- 工場、居室棟に書架を設置して選ばさせる(一般貸与本)
- 目録を作成し、そこから選ばさせる(特別貸与本など)
- 貸与日
- 「1月につき2日を下回らない範囲」という規定
- 受刑者でも週2回あったり、毎日貸出できたり
- 貸与冊数・期間
- 「2個を下回らない範囲」
- 昔は「3冊まで」という規定だったので、おおむね3冊が多い。現在はどうなっているかわからない
- 刑務所内は多文化サービスなのか?
- 意外と外国語書籍が多い(スライド参照)
- 東京刑務所:英語の次に多いのはペルシャ語書籍
質疑
- 選書はどうなっているのか
- 受刑者リクエストを受けているところもあれば、そうでないところもある
- 専任の司書がいるのか?
- 各刑務所に専任のスタッフが1人くらいはいる
- 司書であるかはわからない
- 専門図書館には入らないのか
- 入らないと思う。図書館ではなく、備付書籍であり、置かなければいけないわけでもない
- 受刑者インタビューなどはないのか
- インタビューはないが、アンケート調査を行なっており、「良かったこと」の3位に読書が入っている
-
- 書籍は月2回買う日が決められており、その冊数も定められていることが多い
- ただ、差し入れに関する制限はない。刑務所内でたくさん読んでる人は差し入れされてる人
参考図書
- 作者: 中根憲一
- 出版社/メーカー: 出版ニュース社
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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個人的に、日本では「刑務所図書館」とは呼ばれていないにもかかわらず、その役割は図書館に類似していて(特にカード目録の利用など)図書館と図書館でないものは何が違うのだろうと気になりました。
次回は自分が担当になりましたが、これから何やるか決めるところなので(^^;)上手くいけるか不安です…でもやるからにはちゃんとやりたい!ということで、また来週もよろしくお願いします。
過去200年における”Library”の趨勢、及び"Library Science"から"Library and Information Science"への転換はいつ行われたのか/Google Ngram Viewerを利用して
Googleの“Google Books Ngram Viewer”というサービスがあります。このサービスについて説明した動画が面白かったので、1800年から2000年における図書館についても調べてみました。
“Google Books Ngram Viewer”とは
“Google Books Ngram Viewer”については、カレントアウェアネスが詳しく紹介してくれています。
2010年12月16日、米国のGoogleが、Google Labs内に“Google Books Ngram Viewer”というツールを公開したようです。Googleの説明によると、この“Google Books Ngram Viewer”は、Googleによる図書のデジタル化によって得られた一部のデータを基に、ある単語や文章が、1500年から2008年までの資料にどのように表れていたかをグラフで確認することができるものとのことです。提供されているデータセットは、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、そしてスペイン語の520万タイトルの資料から、5000億の単語を集積したコーパスに基づくものとのことで、データセット自体もダウンロードすることが可能のようです。
Google、デジタル化した資料に検索語がどのように表れるかをグラフ化するツール“Google Books Ngram Viewer”を公開 | カレントアウェアネス・ポータル
"Library"の趨勢
まず手始めに、そのままの”Library”という単語で調べてみました。その結果が以下の図です。1980年代から徐々に使われつつも、山なりになったあと、近年は利用が減少しています。
この山を拡大してみると、1975年ごろにピークを迎え、以降"Library"という単語が図書の中で使われなくなっているようです。
"Library Science"から"Library and Information Science"への転換はいつ行われたのか
もう一つ、"Library Science"から"Library and Information Science"への転換ということで、2つの単語の出現頻度を比較してみました。
グラフから、ある一時期に"Library and Information Science"が"Library Science"を上回っていることが分かります。この転換部分を拡大してみてみましょう。
転換は1996年に生じています。マイクロソフトがWindows95を発売したのが1995年ですから、コンピューターが一般に普及するにつれ、"Library Science"から"Library and Information Science"への転換が生じたのではないでしょうか。しかしどちらも、近年はその利用頻度が減少しています。研究分野として"Library and Information Science"が衰退傾向にあるということでしょうか。
あまりにも割合の差が大きくてグラフ上で比較出来なかったのですが、”Library Science”と”Library”のピークは類似しているように思われます。Libraryへの社会的注目が高まると同時に、Library Scienceも注目されるようになった、逆に言えば、近年の衰退はLibraryそのものが注目されなくなったためとも考えられます。
Libraryの出現頻度のグラフを、アメリカの図書館数や貸出冊数、利用者数、図書館予算、出版点数、市場、国家の財政などと比較してみると面白いと思います。またいつか時間があれば。
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