第3回図書館系勉強会の記録「山中湖情報創造館レポート:図書館ブランディングの観点から」

筑波大学の隅っこで開催している図書館系勉強会の第3回のものの記録になります。…実はこの文章を書くのも3回目です。一度は下書きの段階で消し、二度目は公開後に手違いで消去してしまいした。ブクマしてくださった方、スターを付けてくださった方、本当に申し訳ありませんでした。

今回の記録は「かたつむりは電子図書館のゆめをみるか」で有名なid:min2-flyさんに取っていただきました*1
実は、この「図書館学の門をたたく」もみんつーさんに憧れて4年前に始めたのでした。ということも相まって、このブログにみんつーさんの記録を掲載するという行為に感無量な自分がいます。

今回の発表は図書館の見学のレポートなのですが、写真も豊富で、スライドのデザインも素敵なので、ぜひぜひごらんいただければと思います。これまでと同様に、主観を交えた勉強会の記録ということをご了承ください。


発表の記録

はじめに

今回の発表は遠足の作文な感じ。ゆるい感じでお願いしたい。
山中湖情報創造館は以前から行きたかった。機会があったので行ってきた。

山中湖情報創造館の紹介

  • 日本発の指定管理者制度導入館
  • 特色あるサービスの提供
    • 24時間受取BOX
    • SNSを活用したサイト構築・情報発信
    • プログラム教育などに力を入れる
      • 利用者も図書館員も育てる
    • 館長の丸山さん(@maruyama3)の情報発信

情報創造館の訪問レポートは数多い

  • 今回の力点・・・山下さんの得意分野
    • 指定管理者が運営している図書館
    • 地方公共団体における図書館の位置づけ

山中湖村における情報創造館の位置づけ

  • 情報創造館の方針:webより
    • まず山中湖村の条例の解説から始まる
    • 条例から役割を明確にするのは他の図書館にはない傾向
      • 運営方針を条例までさかのぼって解釈するのもなかなかないこと
    • 「人々の創造性のための公共図書館
      • 「常に前向きで能動的に生きるには創造的に生きることが必要」
      • 「専門集団による支援体制が必要」
      • 創造性を刺激するための情報創造館と、それを支援するための専門家集団

山中湖情報創造館のサービス

  • 山中湖〜高等学校の設置・・・いわゆる公民館的スペース
    • 村民が集まる場の提供(公民館は村にない)
    • 勉強会・町内会の集まり・企業の会議等
      • 壁くらいのプロジェクタがある
    • 利用料が収入源の一つになっている
      • 減免とかがあるので収入源としてはあんまり良くないかも by 丸山さん
    • 情報創造館は設置当初から指定管理にする前提があった
      • 他でも作って費用対効果がいいのかは疑問だけど、こういうやり方はある
    • 無線LAN敷設・飲食も可能
      • おじいさんがおむすびを食べていたりする
    • 図書館には閲覧席がないので、学習などはこちらで
    • 山下さんの所見:
      • 併設施設で使用料を徴収し収入するという着眼が新鮮
      • 図書館以外の施設で収入を得られるなら民間企業でも指定管理に参入してくるのでは?
        • 生涯学習講座を開催する企業
        • コンベンション業者
  • 地域資料の収集
    • 情報創造館ができる前は公民館図書室(ほぼ児童書)しかなかった
    • 地域資料の中身:
      • 富士山・・・寄贈図書も多い/棚2つ分くらい富士山資料・大量の富士山グッズ/山岳資料も多数
      • 美術
      • 近隣の県や街の資料・広報
        • 自然広報など種類もいっぱい
      • じゃらんのバックナンバー
      • 観光客向け資料は別にある
    • 山下さん所見:
      • 会館から10年でこれは凄い
      • 近隣の町の資料も多い・・・交流の関係
      • 観光地にとって自分の街を知ることは重要、一箇所に情報があって誰でも見られるのはすごい
      • 今後の観光地としての発展を考えるにも寄与するのでは?
  • 観光客向けの情報提供
    • 入ってすぐに富士山資料
      • 観光客がぱっと読める本と地域的資料がどっちもある
    • 周辺のごはん屋さん情報
    • 館内向け無線LAN・・・誰でも(村民以外も)利用できる
    • webでも観光客の利用も推奨
    • 周辺は観光施設が密集する地域・・・図書館と知らず入ってくる人も/休憩所としてもありがたい?
    • 所見
      • 閲覧席の少なさは長時間滞在には向かないかも?


地域における山中湖情報創造館の話はここまで。

山中湖情報創造館の図書館ブランディング

  • コンセプト
    • 創造性を刺激するには・・・
      • 思わず利用したくなること
      • いろんなところからアイディアがふってくること
      • 図書館自体の創造性
    • これまでブランディングなど考えてこなかったが、情報創造館で考えが変わった
  • 図書館ブランディングのヒント1:おしゃれなポップがたくさん
    • にじみ出るApple
      • min2-fly:「Windowsだってできる子だよ!」
  • 図書館ブランディングのヒント2:あらゆる情報発信
    • インターネット&マルチメディアコーナー
      • YouTube等にもアカウントあり・ポップ等で宣伝
      • webからも色々はっている
    • 建築の話は色々とある
      • 『触発する図書館』など
      • でも運営するうちにださい張り紙が増えたりして統一感が消える
      • ALAの出しているような図書館ブランディングの本が増えればいい
    • グッズ販売を増やしたい
      • アメリカでは普通にあるのになんで日本ではないんだろう?
  • 山下さんの所見
    • 狭いし行きにくい場所だけど、滞在していて居心地がいい
    • いいサービスはいい雰囲気から/目に止まるような情報発信の仕方が自分の中に飛び込んでくるのが居心地の良さにつながっている?
    • 指定管理者制度を導入している図書館としては・・・
      • 導入によって自社の強みをそのまま図書館の強みにできるのではないか?
        • イベント会社やデザイン会社なども入ってこれるのではないか
        • でも住民の方はそこまで凝ったことは求めていなくて、普遍的なサービスを求めているのかも?
        • 図書館・自治体の自己満足になっても良くない
        • 公共図書館のいいところ・・・日本のどこにいても情報サービスが得られること。普遍的なサービスの保障はブランディングを強くしすぎると保てなくなるかも?

ディスカッション

  • Q. 最初から情報創造館って名前だったの?
    • A. 最初から関わっていた人の意向がかなり反映されている。当初から図書館っぽい図書館じゃなくしよう、ってのはあったのでは?

*1:図書館系勉強会の記録はこのブログにまとめておいたほうが良いのでは、ということでこちらで公開することになりました。