ラーニングコモンズラボラトリ発足準備会に参加してきました


2011年2月4日、東京大学福武ホールにてラーニングコモンズラボラトリの発足準備会が開催されました。
アカデミック・リソース・ガイドのWebサイト上でも報告されていました準備会は一般に公開されたイベントではなく、発足の中心となった呼びかけ人の方が集められた30人〜40人の参加者によるものでした。


イベントの詳細な報告や解説は、同じく参加されていたid:min2-flyさんの記録に詳しいです。
「ラーニングコモンズを起点として、大学と図書館の未来を考える」〜ラーニングコモンズラボラトリ準備会キックオフ - かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)(かたつむりは電子図書館の夢をみるか)
いつものとおり記録はかたつむりの先輩にお願いしていたのですが、グループディスカッションの発表の際は、先輩にグループの代表として発表をお願いしたために、自分が代わりに記録を取ることになりました(先輩と同じグループだったのです)。
記録を読まれている方には、記録が分散することになってしまい大変申し訳ありません。
以下、humottyが聞き取れた範囲でのグループディスカッションの記録を掲載いたしますので、個人の主観に基づく記録であることをご理解いただきつつ、お読みいただければと思います。


ちなみに、イベントは山内先生の趣旨説明に入り、自己紹介、グループディスカッションを経てグループでの発表、最後にARGの岡本さんからのラーニングコモンズラボラトリの活動計画紹介がありました。
グループディスカッションの発表以外は、先程もありましたかたつむり先輩の記録をご参照ください。


その他にも、以下の記録がございますので、あわせてどうぞー

Togetter
2011年2月4日(金):ラーニングコモンズラボラトリ準備会キックオフ - Togetter
Ustream
ラーニングコモンズラボラトリ
ハッシュタグ
#lclab
また、ラーニングコモンズラボラトリのメーリングリストへの登録申し込みはこちらから行えるようです。
Google グループ

グループ別発表

あらかじめ分けられていた6つのグループで30分のディスカッションをした後、それぞれの代表が5分発表する、という形式でした。
テーマはラーニングコモンズの意義とラーニングコモンズラボラトリの役割について。ブレーンストーミングで意見を出し合うというものです。
それでは以下発表順に掲載したいと思います。
(5分という短い時間での発表であったため、humottyで足りない言葉を補ったり、順序を変えて分かりやすくなど、少し手を加えたところもございますが、ご了承いただければと思います。)

グループ1
  • 筑波大学KLCをベースに考えた。
  • ラーニングコモンズに関わる教員や図書館員、学生それぞれの「こうあった-らいいな」と思うラーニングコモンズの合意形成を行うことは難しい。
  • また、ラーニングコモンズは定義も明確ではない。ここにいる人の中でもラーニングコモンズのイメージはかなり異なる。
  • 確固たるラーニングコモンズのイメージが統一されない中で、様々な利用者や関係者がラーニングコモンズにどのように関わる必要があるのか。
  • ユーザーとデザインがキーワード。
    • ユーザーコミュニティ、学生の中でのラーニングコモンズの意見をどのように集約していくのか。
  • 案として、空間を区切る、ゾーニングするなどがある。家具も、後から機能を追加できるように設計すると、ラーニングコモンズとして可能性が出てくるのではないか。
  • ここにはユーザーや運営者、作成者の方がたくさんいるので、その方々のラーニングコモンズの意識の溝を埋めて、合意形成できるようになるとよいのではないか。
グループ2
  • ラーニングコモンズは学習を支援する。
    • 学習するということはどういうことか?
  • 人の学習は見えていない。仲よくない友達がどのように勉強しているかも分からない。
    • (個人として)図書館を使う勉強はしない。課題が出たとき以外は
    • 難しい課題がでてどうしようもないときはファミレスなどで友達とする
  • 学生が図書館を使うときはどんなときか?
    • 医学部の学生は基礎的な知識を暗記しなければいけないが、集中的な勉強をする際は図書館で行う。
  • 学生に取っては学習だが、教員に取っては教育である。教員がそもそも、グループで学習が必要な教育を受けていないから、教育の方法が分からない。難しい。
  • 最近の学生は勉強しないという意見。昔ながらの大学のスタイルとは違う意味で、勉強しなくなっているのではないか。
  • 一方で学生はすごく真面目である。試験もレポートも、課されたことはすごくやる。でも勉強していない?

(ここで発表者が学生から先生に発表者が交代しました)

  • 教員としての反省:学生に手厚く接しすぎたのではないか?
    • 手厚く接することで学生をスポイルしてしまったのではないか?
  • 今後教師側もどのように対応すればいいのか悩んでいる。
グループ3
  • グループの中の人とラーニングコモンズの関わり方が多様だった。
  • 役割が3つある。
    • ラーニングコモンズを作って学内の周知に務める。
    • 人が集まる、学びにつながる。
    • 学内の情報のハブになる。
  • ニーズが多様なので、全部に対応していくとばらばらになる。→ゾーニングが大事。
  • コンセプトも大事。どのように活用してもらいたいのか?
  • 同種の施設との競合。食堂などで提供されているサービスと被ったりする。
  • コンテンツの陳腐化。使われていなかったり、広報の問題。
  • スタッフィング。専門的な職員をどう確保するか。
  • 最後にラーニングコモンズについて3つ考えた。
    • 一人で出来ない学びの場である。
    • 一人での勉強は図書館に来なくても良くなっている。
    • みんなで学べる雰囲気がある。
  • 人とのつながりを求めて図書館に行っているのではないか。
グループ4
  • ラーニングコモンズの意義
  • 学習の場に求めるニーズとはなにか?
    • 伝統的な図書館イメージ。自学自習、静かな場所で一人で勉強するという使い方。
    • 一方でコミュニケーションをとる場、グループディスカッションなどを行うというニーズもある。
  • 上記の2つのニーズの間には何かある。先程の発表にもあったようなファミレスのような、一人だけど一人じゃないという空間。誰かに見られるという環境。
  • 適度な緊張感が学習の環境には必要なのではないか。
  • 他に、やりたいことがみつけられない学生に対するサポートや、キャリアカフェ的な要素など、役割はたくさん考えられる。
  • そういうのを全部ひっくるめて先走って一つのラーニングコモンズを作ってしまうと、疲れてしまう。サービスを維持することや、運営し続けることが難しい。
  • 大学教育を変えていく働きが必要になる。
  • ラーニングラボラトリの役割とは何か。
  • 大学それぞれにニーズがある。それに応えうるラーニングコモンズを作って提供することは難しい。しかし、そのニーズに応えるノウハウ、学生のニーズを反映する方法などのノウハウは見つけることができるのではないか。
  • 学生のニーズを集める方法などのノウハウを共有することで、みんなハッピーになれるのではないか。
グループ5
  • ラーニングコモンズについて3つ考えた。
    • 1.自由な居場所だけれども、なぜか勉強したくなる。教会のような、行きつけのカフェのような図書館。
    • 2.調べる場所はWebになってきている。ラーニングコモンズは学生が集まって、コミュニケーションをとる場所になっている。
    • 3.学生さんたちはどのような質問をラーニングコモンズでするのか?運用の実態を知りたい。
  • いろんな構成員で話をすると、現代の学生がどういうふうになっているのかということを、共有する必要がある。
  • (会場には筑波大学の学生が多かったが)筑波大学だけでなく、他の大学の状況を知る必要がある。
  • 企業の方々のコミュニケーションはどうとっているのかという話題も出た。
    • 会社に行っても自分の場所が決まっているわけではなく、その日その日で違い、そこでコミュニケーションが生まれる例なども。
  • その場に行かなくてもWeb上でコミュニケーションが取れる時代。Web上でできたコミュニケーションで実際に会う場所としてラーニングコモンズが利用出来るのではないか。
  • 企業の方と大学の方で知識が異なるので、その溝を埋める機械になるかもしれない。
グループ6
  • 場所とサービスがあり、場所としてコミュニケーションがある。
  • 分野とか所属を超えた人たちの横のつながり。学生、教員、職員。
    • 面白かったのは、おじいさんがいたりしたこと。生涯学習の一環。
    • 大学に行くまでに商店街があるが、そこで学生を巻き込んで町おこしをするきっかけになる?
  • 教員にとってのメリット。社会に送り出す前のリテラシなどの教育を図書館、ラーニングコモンズに丸投げできる?
    • 図書館員は反発する。なぜなら、彼らはリテラシを教えることが出来ないから。
    • 図書館員を教育する必要がある?
  • リテラシ、FDもラーニングコモンズのと関わりがある。
  • 従来と比べて仕事が増えることに反発する人がいるけど、それは間違いで、今までの仕事を全部ひっくるめて何が必要で何が必要でないかを捨取選択する必要がある。
  • 人によるサービスが必要。サービスは図書館で行う必要があるのか?
  • LCにおける図書館員の役割は、ラボラトリで話し合っていくべき課題。
  • 最後に、いろんな大学の方々がいて、LCはローカル性が強い。それぞれの大学のローカル性に配慮して、ニーズに対応してLCをつくっていくべきではないか。

以上です。
なかなかうまくまとめられず申し訳ありません…
ちなみ、かたつむり先輩が発表した自分のグループはグループ4でした。

参加している人が、図書館員だけでなく教員企業の方、またデザイナーや建築家など様々で、普段接する機会のないような方と議論できたのがとても新鮮で楽しかったです。
発足したばかりですが、これからどうなるのか、すごく楽しみですね。

おまけ

イベント終了後福武ホール1FにあるUT Cafeで懇親会が行われました(ご飯がすごく美味しかった!)。
またその最中、東大の山内先生に福武ホールのラーニングコモンズを案内していただきました。


  • 福武ホールのラーニングコモンズはメンバーズラウンジ。学生のみ入れれるが、付き添いの学生がいる場合は学外の人間が入っても良い。
  • 入口近くのソファの前には本棚があり、東大や情報学環の先生方の著作が集められている。学外の方に対して、先生方の説明などができるようになっている。
  • 飲食可能(懇親会中だったのでお酒を飲みながらまわっている人も)。
  • 計算機は学生証を差し込むことで起動させることができる。
  • チューターは朝10時から夕方5時まで。非常勤講師が勤めている。
  • 水は無料で飲むことができる。

  • 掃除機がかわいい。

  • 外から中が見れるようになっている。この外の空間では、申請すればパーティなどを開くことができるそう。


さすが東京大学、と思わずにはいられないような素晴らしい設備を見学できてとても楽しかったです。