春日ラーニング・コモンズの哀しくて素晴らしいこと

(これは春日LCとは全く無関係の第3者としての発言です)

春日ラーニング・コモンズ(以下KLC)とは、図書館情報学図書館ラーニング・コモンズともいわれ、筑波大学春日キャンパスにあるラーニング・コモンズです。
2008年から活動を始め、2010年から春日キャンパス内の図書館情報学図書館に併設されました。
KLCは、他大学のラーニング・コモンズとは大きく異なる1つの特徴があります。
それは、教員が提案し、学生が主体的に参加し、運営していることです。
そしてそれは、私の思うKLCの「哀しくて素晴らしいこと」なのです。

なぜ哀しいのか?

KLCは学生が主体的に運営していると言いました。そしてそれは、他大学のラーニング・コモンズにはないことです。何故なら、他大学のラーニング・コモンズは、ほとんどが図書館に付属しており、図書館の職員さんたちが率先して運営しているからです。

大学図書館にラーニング・コモンズができたると、学生や教職員がコミュニケーションや学習のためにラーニング・コモンズのある図書館を利用するようになります。
ラーニング・コモンズは、本を扱うだけだった図書館に、新しい役割を与えました。
ラーニング・コモンズが新しくできることで、利用者が増え、図書館が活性化するとのではという考えが広まると、率先してラーニング・コモンズを作ろうとする大学図書館が増えました。
先日見学させていただいた、お茶の水女子大学附属図書館もその一つだと思います。

図書館の職員がラーニング・コモンズを作らなければならないという義務はありません。図書館をより活性化させなければいけないということもありません。
けれど、ラーニング・コモンズのような先進的な取り組みに理解を示して、利用者のために、少しでも図書館をより良いものにしようと思ってくれる図書館員が、私は好きです。
そんな図書館員がKLCに居ないことを、哀しく思ってしまうのです。

なぜ素晴らしいのか?

なぜかというと、同じ学生が運営していることでできる自由な発想・取り組みがあると思うからです。
学生が望むもの・求めていることを、同じ学生の視点から理解し、提供できることは、とても大きな魅力です。
またフットワークの軽さも大きなメリットです。ラーニング・コモンズの利用環境の改善や、開所式のUST生中継、ワークショップの企画など能動的な試みも、思い立ったらすぐできます。またそれらを行うための人脈なども持っています。なんでもすぐにチャレンジできることは、ラーニング・コモンズを大きく発展させるのではないでしょうか。
他に例がないからこそ、KLCは大きな可能性を秘めていると思います。学生が主体的に運営できることは、本当に素晴らしいことだと思うのです。

終わりに

KLCが図書館に併設されて一週間ほどが経ちました。初期のころからKLCについて見てきましたが、恥ずかしながら、図書館に併設されて初めて、私はラーニング・コモンズの良さに気づくことができました。
本を探しにしか来なかった図書館に、履修登録や、授業相談や、雑談など、様々な目的でいろんな人がやってきます。意外だったのは、本当にいろんな人が来たこと。履修登録という課題がある期間だからこそかもしれませんが、何かの際にスタッフやその場にいる人に助けてもらった学生は、きっと、他のことで悩んでも、KLCに行けば教えてくれるのでは、と考えるようになるのではないでしょうか。
また、自分自身、KLCを利用して、「仕切りのないスペースでいろんな人が集まること」の良さを実感しました。例えばインターンの報告会のプレゼンを練習しているとき、たまたま傍にいた人に感想やアドバイスを聞けたり、他のグループのミーティングの内容を聞いて面白そうだなと思ったり…「場としての図書館」がこのようなところなら、なんと魅力的だろうと思うのです。
KLCにはまだたくさんの課題があると思いますが、それらを乗り越えて、より良いものとして春日キャンパスに根付いてくれることを願っています。