この学類の広報方針と未来/どっちかという話ではなく、

今の学生は、大学に何を求めてくるのだろう。
充実した大学生活?バイトや、サークルや、友達や彼女、そういうきらきらした青春めいた大学生活を送ることを、受験戦争に苦しむ高校生は夢見ているのかもしれない。
けど、それを基準にして大学を選ぶのかな。
あ、この大学ならたくさん友達できて楽しそうだからここにしよう!
…なんて、思いながら大学を選ぶのだろうか。
  
筑波にいるとそういった「勉強以外」の大学生活が充実しすぎていて、それがすべてで価値のあるものと思ってしまいがちだけれど、外の大学では決してそうではないよね。
サークルに入らない人もバイトもしない人も、自宅通学ならそれが普通だったりする。友達と夜10時以降一緒に居るなんて信じられない、って思う人も居る。自宅通学ではない筑波大生には理解できないだろうけど。
でもそんな人たちでも大学に行くのは、そこで青春を送るのが目的ではなく、勉強するために行くのだ。
  
たくさんある大学の学部・学類は、そこでどんな勉強ができるかということでしか差別化できない。
文学を勉強したければ人文学部社会学を勉強したければ社会学部。高校生はまだ学問の違いなんかも分からないから、「興味があるもの」程度で選ぶ。ロボットが好きなら工学システム学部、というように。
そういった意味で、知識情報・図書館学類のアイデンティティといえば、「知識」や「情報」や「図書館」について学ぶことができる、といった点に尽きる。
自分からしてみれば、知識情報・図書館学類の一番のメリットは図書館情報学類を学ぶことができる国立大学で唯一の学部であり、なおかつ図書館情報学の先生や図書館の蔵書が日本で一番揃っていて、これ以上図書館情報学を学ぶのにふさわしい環境がないというところだ。
というか、あればそっちに行ってた。
たまたま自分は図書館情報学を学ぼうと思ったが、それが知識哲学だろうが情報学だろうが同じだろう。
あと良く聞くところは、文理融合のスタイルを取るために、文型であっても情報、コンピュータ系の勉強ができるということ。そのために受けたという人も多い。
ネガティブな意見では、やっぱりネームバリューや受験制度が決め手になった点もある。
しかし、「知識」や「情報」、「図書館」について勉強できるということは、知識情報・図書館学類が他の学部と差別化できる十分な理由だし、魅力あるメリットである。
  
残念なことに、今の知識情報・図書館学類はそれに気づいていない。
この学類の神経質なまでの図書館アレルギーには最近少し嫌気がさしてきた。
おそらく、その名前の「図書館」という部分にだけ惹かれて学生が入ってくることに、大学側は快く思っていないために、「図書館」を目立たなくさせようとひた隠しにする。
「本が好きです」「図書館が好きです」といった学生に大学も辟易しているのだろう。
「図書館」というネームバリューは、他の要素を無視して図書館しかアピールされないのではないかといった点でこの学類のアキレス腱でもあるが、日本で唯一ここしかないという最大の魅力でもある。そのことを誰も理解してくれない。
ロボットを勉強する学部に、「ロボット好きです!」という学生が入っていくることをなぜ避けなければいけないのか。好きこそ物の上手なれ、とはよく言うが、だれも嫌いなものをわざわざ勉強したいと思わない。
逆に、「知識」や「情報」に加えて図書館情報学を勉強できるのはここだけ!なんてアピールをするほうが、大学が目標にする受験生獲得に有効なんじゃないのか。
  
…と、さすがにここまでいうのは、自分もなかなか図書館教に染まってきたなと実感するところでありますが…
でも、わざわざ隠す必要もないよね。図書館の勉強できるよ!楽しいよ!っていうことの、何がいけないんだろう。この学類にいると、図書館というだけでバッシングを受けなければならないのが本当理不尽に思える。
これならむしろ、京大で教育学やりながら図書館情報学の勉強していたほうが、「こんな面白い学問あるんだよ!」って胸を張って言えたんじゃないだろうか。
  
大学は勉強する場所である。学生の本分は勉強することである、とはいうが、それじゃ楽しくないからバイトしたりサークルしたり、充実した生活を送りたいよね、っていうのは当然。
自分だって、サークルに打ち込みすぎてブログの更新も一切しなかったわけですし。
でも、大学の側から充実した大学生活を送りなさい、っていうのは、やっぱり違う。
誰にだって役割がある。大学の役割は、そこで学生が何をしようと、勉強させる場所であることに変わりない。学生が自主的に活動を行うことは、あくまで学生の意思であり、そこに大学は関係ない。
そこを見失って、大学自体が「充実した大学生活」のみを前面に押し出していたら、それを目標にする学生しか入ってこない。勉強したい学生はもっと真剣に勉強できそうな学部に行こうと思う。自分でさえ今この時点で後悔している。どっちの学生が良いのかは、図書館情報学の未来に少なからず影響するんじゃないかな。