本をデータで販売するようになったら
これはkatz3さんの図書館断想に勝手に便乗させていただいているものです。勝手にごめんなさい。
本をデータで販売するようになったら(SF的に)
ある程度の規模の書店にはブックシェル(仮)という箱型の機械が置いてある。親に見せたら、昔はやった占いの機械みたいだと言うだろう。機械には端子がいくつかついている。フラッシュメモリなどの補助記憶装置を直接接続できるほか、ケーブルを介して直接デバイスを接続することもできる。
主流は携帯用の小型フラッシュメモリにデータを落として各機器のディスプレイや専用の再生装置に再生すること。補助記憶装置には数日間しか記憶することができないが、専用の再生機器もしくは再生プログラムに移せば半永久的に保存することができる。(印刷枚数は限られている)デバイスを直接接続する際も同様だが、その際はあらかじめ再生プログラムをダウンロードしていることが必要である。
課金形態は、出版社側の意向によって、一章毎でもダウンロードできるものと一冊まるまるでないとしかダウンロードできないものの2種類指定できる。出版社が一冊ごとにどちらかを選択できるが、主に学術書などは一章ごと、小説などが一冊指定の傾向がある。
支払いは、書店ならば書店会計で現金で支払うことができる。ブックシェル専用のプリペイドカードもあり(補充可能)、それを利用してブックシェルで購入するとポイントがたまる。リーダーを購入すれば自宅などネットを通じてブックシェルのサイトで直接購入することができる。*IPODみたいな使い捨てプリペイドカードのID入力制にしなかったのは、セキュリティの問題と、プリペイドカードの流通の拡大が困難であること、またリーダーにすることで他のキャッシュカードとの連携がとりやすい。
キャッシュカードのみではなく独自のプリペイドカードを導入するのは、未成年にも自由に利用してもらいたいから。使い捨てプリペイドカードも利用できるとして、購入できる書籍に条件を付ければ(成人用を除外、とか参考書・学術書のみ、など)子供に娯楽以外の図書を買うための資金を提供することができる。贈答用などに。
重要なのは、ブックシェルを配置したからといって書店がなくなるわけではないこと。むしろ、書店の一部にブックシェルを置くこと。利用者が書籍を選ぶかデータを選ぶかは自由。もちろん、出版社の側も自由だが、配布するデータ形式を校正などで使用するものに近づければ、印刷するよりデータ配布するほうがコストは少なくなるはず。その際浮いた金額でデータ形式のほうを値引きしてもいいかもしれない。実際は、どちらにもあるほうがよい。
そもそもブックシェルという専用の箱型機械を設置するのもコストがかかる。書店はブックシェルの機能に加えて図書の予約や取り寄せ依頼も利用者が自由にできるようなものを設置すれば便利なのだが。むしろそういう機械は今あってもいいはずなのになぜかないね。かつ、コンビニやそれ以外に設置されているマルチタスクな機械でも可能にする。
とすると、ブックシェルなんかは別に本を販売する機械ではなく単なる本屋の便利なタッチパネル式装置になるだけだが。それはそれで必要か。
ではその装置をどのように販売・運営するか。ほぼ全ての出版社に協力してもらいたいので、どこか一社が専従的に販売や仕組みを展開するのではなく、「図書の未来を考える会」的な委員会を設置して何社もの協力による運営にすれば?〜映画製作委員会みたいな。そうすればいろんな出版社も加入しやすいかもしれないし、運営資金はそれぞれ出版社の寄付とする。プログラムはもちろん無償配布とし、専用デバイスも市場の流通にまかせる。利益は書店と出版社の未来のために。公共哲学的な民の公共になりうるかも。そんな馬鹿な。まあ生じた利益は、それがどういう仕組みかしらないけど映画みたいに配分すればいいんじゃないかな。
どこにそんな需要があるのか。考えられるのは四六時中ディスプレイと向かい合っているから書籍のデータ化したものが欲しい人、活字中毒で移動の際に持ち運ぶ書籍の重みで肩こりがひどい人、学術書などを章ごとで分割して読みたい人。家から出たくない人。電脳世界で生きていたい人。いちいち打ち込む手間が省けるのが嬉しい研究職の人。あ、でもドラッグコピーは禁止にしたほうがいいと思う。
書き込んだりしたい場合は書籍で欲しいが、値段に差があればそのうちデータ化に流れたりするかも。