第6回図書館系勉強会『「読む」とはどういうことか:速読とメディア』


いやー、面白かった!!!先輩に発表をお願いした自分を褒めてあげたいくらい、とても面白い勉強会でした。ということで、図書館系勉強会第6回目は、「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」で有名なid:min2-flyことみんつー先輩の発表の記録になります。ちなみに、来週の図書館系勉強会図書館総合展のためにお休みで、次回は再来週になります。テーマなどは未定ですが、決まり次第こちらに掲載いたします。
いつものように、発表及びその記録は個人の理解できた範囲によるもので、必ずしも正しいわけではないことをご了承いただければと思います。それでは、どうぞ!
  

  

今回の発表の動機

  • 最近、本読んでる?
    • ブクログのグラフ機能;読む冊数が増えた
      • 9月は121冊。一日3冊ペース
      • 10月は論文執筆のために論文を読んでた
    • プライベートでも研究でも読みたい本がいっぱい。でも時間がない
    • そうだ、速読だ!
  • 電子書籍、読んでる?
    • 今年は電子書籍2年(笑)
    • (笑)といいつつ、iPadなどははやっている
  • 電子書籍でも、紙の本と同じように理解できるのか、という研究もある
  • では、これまで紙の本はどう読んでたのか?
    • 人はどう文章を把握しているのか?
    • 早かったり遅かったりするのはなぜか?
  • ということが気になったので、今回のテーマを設定した

  

読書の速度とは何か?

  • A. 単位時間あたりに読める文字数(英語だと単語数)
    • 分速○○文字=読書速度
  • 良いところは、他人と比較できるところ
    • ただ、読む文章の内容や、文体との相性で大きく差がでる
  • 読んでるだけでいいのか、ということで、理解度を測る質問をすることも
    • このときの読書速度を修正読書速度
    • 例えば、10問中2問間違うと速度は10分の8に

  

読書速度を測ってみよう!

  • 配布資料に掲載されている文章を読んで、読書速度を測ってみよう!
    • humottyは1分53秒かかりました
    • ということで、読書速度は988文字/分でした
  • ちなみにみんつーさんは1432文字/分(4回目?)
  • 題材は芥川龍之介の河童
  • 日本人の平均は500文字/分
    • これが哲学書だともうすごく遅くなったり、差は出るが、難易度中程度ならこれくらい
    • 最大で200-2500までの差がでる
  • 速度と理解度に相関はない、といわれている(!!)
  • 相関がないなら、早く読めたほうが得ではないか?

Q.速度と理解度に関係ないのは個人なのか、早い人とゆっくりの人によるのか
A.個人ではなく、速度が違う人による結果。自分が理解できる限界速度で読んでいても、差はないといわれている
  

読書速度を上げるには?

  • 読書速度を上げる方法は3つある
    • 速度を下げる「癖」をなくす
    • 文字を捉える速度を上げる
    • 飛ばし読みをする

  

(1)速度を下げる「癖」をなくす
  • 癖;音読、唇読。逐語よみ、逐語読み、なぞり読み。首振りなど
  • 音読、逐次読み
    • 一文字ずつ、1単語ずつ文字を把握するので、速度が遅くなる
    • 人間はものを読むときに、一文字ずつ本を読まない
      • 小刻みに止まっては動く、を繰り返している(停留点)
    • 停留点の前後をまとめて把握しているので、一文字ずつ読んでいるわけではない
      • 一文字ずつ読むと、止まる点が増えるという意味で遅くなる
    • 視線の移動は100分の1秒単位。音読はさらに時間がかかる
  • 黙読ができるようになったのは最近なので、現代人は昔の人に比べればだいぶ速い

  

(2)文字を捉える速度を上げる
  • 1. 停留点を減らす
  • 読書時間=停留時間+移動時間
    • 停留時間>>>移動時間(アメリカでの研究により)
  • つまり、移動時間を縮めるより、停まっている時間を短くしないと速度は早くならない
    • ただ、理解する速度をあげるのは難しい
    • 停まる回数を減らせばいいのでは?
    • 1停留5文字程度把握/1停留8文字程度把握
  • 文字を読む速度=1停留の把握文字。この文字数は訓練すれば減らすことができる
  • 2. 逆行回数を減らす
    • 理解出来ないと後戻りすること
    • 年齢が大きくなると自然と少なくなる
  • 3. 行(ぎょう)移動をスムーズにする
    • 行を見失うと大幅な時間ロス
  • 訓練法は参考資料を参照!

  

(3)飛ばし読みをする
  • 視線移動の速度には限界がある。2,500文字/分くらい
    • それ以上速く文字を読むことは不可能だが、速く「本を読む」ことは可能
  • つまり、飛ばし読みをしてしまえ!
  • スキャニング(検索)
    • 目的がはっきりしているとき、調べ物をしているとき、必要なところのみ読むこと
    • 配布テキスト2で実践!(「BOAI」が発表された年を探す)
  • スキミング
    • 重要・未知の内容を抜き読む
    • 文章の特定部分、骨子、要旨のみを抜き出して読む
    • 段落の最初の一文と最後の一文を読めばその内容も分かるだろう(パラグラフ・リーディング)
    • 目次を読んで、知らない内容だけ読む
    • 自分の「問い」を用意して読む(読む目的を設定する)
  • 結局、読む文字数を増やすか、内容を減らすかの二択

  

メディアと読書速度

  • ここまでは「紙」の話
    • メディアによる影響もあるのでは?(電子本だけでなく、段組など)

  

実験してみた
  • 材料;芥川龍之介『河童』
    • 章単位で切り分ける(文字数はだいたい同じ)
  • iPadやブラウザによる変化をみる
  • 被験者は4人
  • レイアウトの差
    • 特定の傾向はない!
    • 人によって、縦横/段組の有無に得意・不得意が暑
  • メディアの差(スライド46参照)
    • 4人4形式で、それぞれ最速が違った
    • 各形式の最速も異なる人が出した!
    • 個人差が大きすぎる!
  • メディアによる差はないのか?
  • 先行研究でも、紙の本が好きだというけど、紙でも電子でも速度は同じ
  • しかし、これらはそもそもちゃんと「読む」ことが限定

  

電子書籍で飛ばし読みは可能か?
  • スキャニング/スキミングのしやすさ
    • レイアウト調整が読み飛ばしに与える影響
  • 紙は編集者の考えたレイアウトだが、電子は読み手が好きに変更できる
  • どちらのほうが飛ばし読みしやすいのか?
  • 飛ばし読みの研究は少ない。狙い目かも?

    

まとめ

  • 読書速度の決定要因は、速さと内容を減らす技術
    • 速さには、メディアの差はない
    • 飛ばし読み(内容を減らす)ことへのメディアの関係はよくわかっていない
  • 参考書の例
    • 「超」速読法
    • 速読の科学:どこまで速く読めるか
    • 速読トレーニング:すぐに役立つ実践10ステップ


※質疑で詳しいところまでいろいろお聞きしましたが、記録では省略します。