埼玉県川口市にあるメディアセブン&川口市立中央図書館に行ってきました

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http://www.kawaguchi-lib.jp/docshp/images/usr_doc/index.html
http://www.mediaseven.jp/open/common/link.jsf?act=toppage
エムズタウンとは、お客様にまごころをご提供する街を意味するショッピングセンターです。
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1/30に埼玉県川口市にあるメディアセブンと川口市立中央図書館を見学しに行ってきました。もともとショッピングモールに隣接(建物は同じ)している図書館と施設として興味を持っていたところ、メディアセブンを見学しに行くお誘いをいただいて、同行させていただきました。
お誘いいただいたid:literarymuseumさんの記事はこちらhttp://d.hatena.ne.jp/literarymuseum/20110130/p1)です。


見学記はインターンをしておりますアカデミック・リソース・ガイドのWebサイトに掲載させていただいていて、その文章の転載許可は頂いているのでこちらでも掲載したいと思います。ただ重複している内容なのでお読みになる方は「続きを読む」からお読みくださ*1

見学してみて

メディアセブンも川口市立中央図書館もとても素敵な施設でしたが、素晴らしいことだけではありませんでした。
メディアセブンでは、「自分たちにはコレクションがない」というお話が印象的でした。図書館では物理的な資料をコレクションとして貯蔵し、提供することができますが、メディアセブンには、そのようなコレクションがありません。パソコン施設はありますが、それも老朽化が激しい。
そんな中で、メディアセブンではかなりの数のワークショップを開催していることなどから、眼には見えない「ノウハウ」が強みではないか、という話になりました。ワークショップやイベント開催に関するノウハウをなんとかパッケージできないか。メディアセブンは図書館と異なり、利用料などで収入を上げることができる、つまり収入を得なければ苦しい立場にある以上、何らかの事業を展開できれば嬉しい。
収入とは別の観点からみてみると、ワークショップ自体は、どんなに開催したとしても、一回で数十人、1年で何百人程度にしか関われません。それはとても素晴らしいことですが、それだけでは50万人の川口市民のごく一部になってしまいます。小学校や地域の公民館への出張ワークショップや、その他何らかの手段をとりたい、などという考えをお聞かせいただいたことは、図書館とは少し違うけれども、とても興味深い社会教育施設の在り方として刺激になりました。

もともと川口市立中央図書館・メディアセブンに興味を持ったのは、ショッピングモールの中にある図書館を探していたところ、その一例として教えていただいたことがきっかけでした。
駅のそば、ショッピングモールの中にあって、利用者が少ないはずがない。めちゃくちゃ利用されているんじゃないか、という期待や、ショッピングモールの中にある書店とどのように共存しているのかが気になっていました。
(ぱっとみ見学しただけでは、どちらも利用者がたくさんいて、一種の住み分けがかなっているのではないかと思いました。ただ実際の売上などの変化を見てみないことには、詳しい影響は分かりませんが…)

立地は図書館にとってとても重要な要素だと思うのですが、川口市立図書館及びメディアセブンにはそれだけではない魅力、使いやすさやイベントが豊富などの特徴がありました。これも、先進的な地域図書館としての一つの形ではないでしょうか。





以下はこちらの記事の転載です。はてな記法などの表現方法の都合上、元の記事と異なる部分がありますが、あらかじめご了承ください。


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川口駅のすぐそばにあるビル、キュポ・ラ*2の5.6Fには川口市立中央図書館が、7Fにはメディアセブンがあります。
キュポ・ラはショッピングセンターで、3Fには大型書店も入っており、一つのビルに書店と図書館が同居し*3、さらには”メディアセブン”という公共の施設まである、ということで気になっていたところ、メディアセブンを見学するお誘いをいただき、川口市立図書館と併せて実際に見学してきました。

メディアセブン

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http://www.mediaseven.jp/open/common/link.jsf?act=toppage

メディアセブンとは、市営のパソコンやホール、録音室の設備を有償で貸し出す施設のようです。
メディアセブンは指定管理でNPOの方が運営されていますが、その方々がとても精力的に活動され、様々なワークショップが開かれていました。


メディアセブンのポスターやチラシ、壁面などに描かれ、統一したデザインを演出しているのはメディアセブンの非常勤職員の方らしい。
なんでも芸大出身で、イラストなどが得意だったために手がけることになったのだとか。
特徴ある手書きフォントに、暖かみのあるイラストなど、テーマカラーの緑とあいまってメディアセブンを印象づけています。

見学した際には、紫文式の都々逸のワークショップが開催されていました。
年配の方にまぎれて、中高生や小学生が参加していたのには少し驚きました。恥ずかしながらも小学生の女の子が都々逸を習う姿はとても可愛らしかったです。


メディアセブンにはスタジオもあり、会員の方に有償で貸し出ししているよう。有償といっても一回500円などで、一般のスタジオに比べれば破格の値段。
設備は十分で、音楽レーベルの作成もできるとあり、セミプロの音楽家の方なども常連さんなんだとか。

メディアセブンではなんと、ラジオ(!)も流しています。
このラジオは主にメディアセブンや中央図書館内の範囲内に電波が届き、聴くことができるそうで、今は固定コンテンツをランダムで繰り返し再生しているそうですが、そのうち図書館と連携した図書館ならではのコンテンツや、視聴覚資料の朗読図書なども流せたら、考えているそうです。
館内で音楽は流せなくても、ラジオのイヤホンから図書館ならではのBGMが流れてきたりすると、なんだか楽しそうですよね。


見学した際は日曜日でパソコンも満席、盛況だったのですが、平日はもっと忙しいそう。スピーカーからうっすらと音楽が流れているのが雰囲気作りに一役買っており、とても良かったです。

別のセミナールームではボランティアの方がパソコンの講習会を受けていたのですが、そのほとんどが高齢者の方でした。
情報化社会が浸透したといってもまだまだパソコンに触ったことがない方も多いのが現状です。そんな中、格安で誰でもパソコンやインターネットが使える公共の施設の意義は大きいのではないかなと思いました。

川口市立中央図書館


http://www.kawaguchi-lib.jp/docshp/images/usr_doc/index.html

川口市立中央図書館は2006年にリニューアし、現在のキュポ・ラの5,6Fにオープンしました。
全面ガラス張りの側面が印象的で、とても明るく開放的でした。陽射しが強いときは本の日焼けなどの問題もあるらしいですが、多くの利用者の方がガラスに面した椅子やソファに腰掛けて読書などをしており、駅やビル、街並みの景色が良い閲覧スペースはとても気に入られているようでした。
(駅のホームに電車が入ってくる光景を見下ろして楽しめるため、鉄道ファンの方にも評判が良いのだとか)

貸出カウンターと返却カウンターが分かれており、返却カウンターはゲートの外にありました。貸出カウンターにはスタッフの方が一人いましたが、館内に自動貸出機が豊富にあるためか、日曜日でしたがそこまで忙しそうではありませんでした。
写真がないため伝えにくいですが、ゲート前右手に返却カウンターが、ゲート後左手に貸出カウンターがあり、正面には相談・案内カウンターがありました。初めての来館者には、これがとてもありがたい。早速館内撮影の許可などをお尋ねすることができました。*4
他にも、天井から下げられた大きな垂れ幕型のアイコンや、階段を登ってすぐに目に付く案内板など、初めての利用者にも優しく、分かりやすい設計でとても親しみがもてました。


日に3,000人は利用されるようで、見学した際も老若男女問わず様々な方が図書館を利用されていました。OPACの検索速度が速い!しかも5ヶ国語対応(日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語!)など、細かいところも行き届いていて、ささっとした見学でしたがとても良い図書館でした。

キュポ・ラの語源にもなった工場の鍛冶場の風景を模した人形が利用者の方から寄付されたようで、階段登ってすぐの目立ったスペースに大きく展示しています。

6Fへの階段を登って目につくのは、先程の案内板とこの垂れ幕。川口市立中央図書館では「レファレンス」の代わりに利用者にも分かりやすい「相談」という言葉を使って、相談カウンターを設けていました。

入り口すぐの右手にはティーンズルームということで児童室が。児童室は騒音などが問題にならないよう丸く壁に囲まれていました。読み聞かせなどはメディアセブンにあるホールで行うことが多いそう。


感想

駅の側、それも買い物客も多く訪れるショッピングモールの中にある図書館、公共施設ということで、利用者は多いと想定していたのですが、場所の立地に加えて施設の綺麗さ、使いやすさや積極的なイベントなどがとても魅力的でした。
ふらっとみてみた感じでは、同じビルの書店にもお客さんは多く、図書館と書店で住み分けているのではないかと伺えます。蔵書冊数や敷地面積が膨大なわけではありませんが、「あったらいいな」と思えるような、明るく素敵な図書館でした。

*1:写真はflickrの写真をこちらのサイトを利用して画像リンクで挿入しています。flickrでの公開はこちら

*2:キュポ・ラとは、工場地帯だった川口市にあったキューポラキューポラ - Wikipediaからとったしいです。

*3:ショッピングセンターの中にあるといっても、5-7Fまでにはショッピングモールとは別のエレベーター・エスカレーターが通っており、煩わされず直接向かうことができました

*4:館内撮影は職員の方が同伴するなら、ということで、お忙しい中職員さんに付き添っていただき、撮影を許可していただきました。ありがとうございました。