入江亜紀『群青学舎』

群青学舎 一巻 (ビームコミックス)

群青学舎 一巻 (ビームコミックス)

1巻だけだいぶ昔に読んでいて、今日残りの2-4巻をまとめて買って読了。
ひとつのお話が続くのではなく、全く世界も時代も異なる様々なお話ばかりです。たまに2-5話連作もあるけれど、ほとんど1話完結。
共通したテーマがあるわけでもなく、子育てのある一日、人の死に出会ったこと、最愛の人を亡くしたこと、初めて外の世界を知った事、植物の芽が出るのを待ちわびること、反乱から逃げ延びて国を建て直すこと、など様々なことが描かれている。
絵が綺麗で、言葉よりも情景で語りかける事が多く、良く出来た映画を見ているような気分に浸れます。


この本に描かれている”出来事”が多くて、私はこれを読んでなんとなく、人生にはいろんなことがあるんだな、って思いました。
家族を亡くすのは悲しいけど、それでも毎日は過ぎていく。新しい命が生まれ、子供は成長し、やがて巣立ち年老いた夫婦が残る。悲しい事があっても、それ以上に輝かしい日々もある。
いやな事は忘れて上を向いて行けばいいわけでもなく、ただ悲しみに浸って停滞することが慰む方法でもない。
考えても考えなくても、気づいても気づかなくても、日々は過ぎていくしその途中ではっとする何かが起こる事もある。何も起こらなくても、幸せな日々もある。


迷って悩んでぐちゃぐちゃになった時に読むと、ふっと真っ白いキャンバスに立ち返ったような、すがすがしい気持ちになれるかもしれません。


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