私にはもう出版社はいらない / アロン・シェパード

LINK

アロン・シェパード著, 平林祥訳. 私にはもう出版社はいらない:キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法. 東京, WAVE出版, 2010.6, 210p.


題名の通り、POD(プリント・オン・デマンド)を利用したセルフパブリッシングで本を売るための「方法」が詳しく載っている、マニュアル本のようなもの。*1
アメリカ(のアマゾン・コム)を中核に据えているので、日本では全く同じ方法は利用できないし、あまり意味のないように思えますが、近い将来日本でも今のアメリカと同じようにPOD、セルフパブリッシングが台頭すると思えば、その将来を予測しどのように対策を立てればよいかを考える上で、とても役に立つのではないでしょうか。


訳者も後書きで述べています。

「その一方で期待したいのが、こうした米国のセルフパブリッシングの手法と現状を知った出版社による、セルフパブリッシング本の書き手に負けない書籍作りと、マーケティング手法の開発だ」(p.210)

それこそがこの本の、日本における真の価値ではないかと思います。
アメリカから数年遅れて起こるだろう新しい出版の形に対し、どう迎え撃ち、また共存の道を探るのか。過渡期にある出版社(もしくはサプライヤー)に、ぜひ読んでほしい一冊です。

面白かった、新しい考え方

  • 本の副題はマーケティング効果を狙うための重要なツール。よって、いつでもいくらでも変更してよい(そのために、表紙には副題は書かない)
  • PODによって、本の改訂が劇的にやりやすくなった。大幅に内容を変えるのでは無ければ、いくらでもアップデートした方が著者にとっても読者にとっても良い
  • 効果的な(アマゾンにおける)マーケティング。タグの付与やカスタマーレビュー、推薦文の依頼など。

*1:これらのマニュアルの中には、図書館、書誌学的にどうかと思うものもあるかもしれないけれど…