図書館法に規定されない図書館:図書館同種施設
図書館同種施設が気になっています。
図書館同種施設とは、図書館法上に規定されない図書館のことです。一般の図書館は教育委員会の所管にあたるのですが、図書館同種施設は主に首超部局が図書館を所管している場合にあてはまります。
図書館同種施設について以前こんなメモをとっていました。
- 図書館法上の図書館であれば、図書館法の規定を前提としているため、設置条例にはそれ以上の規定や名称・住所のみで済むが、公の施設としての図書館は図書館法を前提にできないので、設置条例中に図書館法に定められている事項をすべて規定しなければ、図書館法上の図書館と同じ機能を住民に保証したことにはならない。
- 図書館法上の図書館は、社会教育施設である以上、教育委員会が所管するものでなければならない。(地教行法23条、33条)
- 首長部局が所管する図書館は地方自治法第26条第2項を根拠としている。
- 地方自治法第26条に基づいて社会教育の一部を長部局に移すことは、明確な結論が出されておらず、今後慎重に議論されるべきものである。筆者は、移管を、地方自治法及び地教行法に抵触する可能性のあるきわめて不当なものと考えている。
図書館と法―図書館の諸問題への法的アプローチ (JLA図書館実践シリーズ 12)
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平成20年度社会教育調査によれば、全国の公共図書館3,140館のうち、教育委員会の所管でない図書館は6館ああります。*1
上記にあるように、明確な結論は出されていないものの、首長部局が所管しているにも拘らず図書館法上の図書館と同様に扱うことはグレーな判断だった気がします。例えば著作権法では、著作権法第31条<図書館等における複製>の規定において、「国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他政令で定めるものにおいては、…」となっているので、この場合における図書館が図書館法上の図書館であるとすれば、首長部局所管の図書館では認められないことになってしまうからです。
一方で現在では図書館などを含めたまちづくりを積極的に行うために、図書館を首長部局が所管することを良しとし、関係法規の方を修正すべきという意見もあります(指定管理者制度と公立図書館−制度面から見る指定管理者制度の問題点と可能性−)。
首頂部局所管の図書館について例を聞いた気がするのですが、ど忘れしてしまいました…どこだったかなあ。気になります。*2
*1:平成14年度以前の所管別集計結果はない
*2:山中湖情報創造館は指定管理者の指定を教育委員会が行なっているので(http://www.vill.yamanakako.lg.jp/ordinance/reiki_honbun/e6580358001.html)、所管は教育委員会にあたるのかな
根本彰『理想の図書館とは何か:知の公共性をめぐって』
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図書館の専門家により書かれた図書館に関する本。
当たり前といえば当たり前です。しかし、図書館に関する本といえば主題別の司書課程の教科書が多数を占め、今まで図書館についてここまで詳細に、かつ一般的に論じた本というのはあまりありませんでした。外国の文献なども細かに参照し、詳しく論じながらも、切り口は「勉強と図書館」や「場所としての図書館」、「情報通信技術と図書館」など一般市民にも分かりやすいものになっています。
分かりやすい切り口から書かれてはいるものの、やはり内容は少し難解で、図書館についてあまり知らない一般市民が読むには少しとっつきにくいでしょう。内容は素晴らしいので、この本の内容と、一般市民を繋ぐ間にもう一冊、新書の形式で分かりやすく読みやすい図書館に関する本が登場してくれれば、より多くの人に図書館について知ってもらえる良い機会になるのではないでしょうか。
図書館を学ぶ学生は言わずもがなじっくり読み込む必要があります。自分の力では要約もできないほど濃い内容なので、ぜひ手にとって読んでください。
ブログ紹介
http://euroerusw.blog.fc2.com/
大学学部時代から同じサークルに所属していた友達がブログを始めました。彼女はウクライナ・ベラルーシなどの地域研究を行なっている大学院生で、現在も留学中であり、平成24年度からもまた長期の留学の予定があるなど、とても勉強・研究熱心な方です。彼女の学問に対する姿勢には学ばされるところが多く、ああいう風になりたいなと憧れに思います。真摯に学ぶ彼女の姿を少しでも多くの方に読んでもらえれば幸いです。
2012年ブログ始め
皆様、明けましておめでとうございます。
2012年初エントリになります。
自分も昔は年賀状など出していたのですが、今年は新年の挨拶すら送らなくなってしまい、めっきり季節感がなくなってしまいました。
そんな中、唯一したお正月らしいことと言えば、初詣におみくじ。
家族4人で出かけて引いたおみくじにはこんなことが書かれていました。
こちらによくすればあちらにわるく 右によくすれば左にわるく 常に心の迷いあり
・・・。
ちなみに、「願事」は「二つの願を一度に叶えんとすればわるし」。
・・・。
神様はお空から全部見ているのでしょうか。
昨年末からぐるぐるぐるぐる悩み続けて、それこそ二兎を追うような状態だった自分にはあまりに耳にいたいお言葉でしたので、そのまま結ばずに持って帰ってきてしまいました。
今年は自分の進みたい道を見誤らないように、謙虚に生きていきたいと思います。「学問」は「努力すればよろし」だったので、この言葉を支えに頑張るのみですね。
昨年もたくさんの方々にお世話になりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
皆様に幸多き一年が訪れますように。
2011年ブログ納め:今年書いた記事まとめ
2011年も残すところあとわずかとなりました。ということで、2011年に書いたブログ記事をおさらいしてみたいと思います。
1月
2月
6月
8月
10月
- 第1回 図書館系勉強会の記録「日本における図書館員の研修状況」 - 図書館学の門をたたく**えるえす。
- 第2回図書館系勉強会の記録「図書館法について:明治初期からみる図書館法」 - 図書館学の門をたたく**えるえす。
- 第3回図書館系勉強会の記録「山中湖情報創造館レポート:図書館ブランディングの観点から」 - 図書館学の門をたたく**えるえす。
- 第4回図書館系勉強会「文学研究ガイカン」 - 図書館学の門をたたく**えるえす。
- ”人は一生に一時しかそれを所有しない。残りの年月はただそれを思い出すだけだ”/学部2年生に語ったこと - 図書館学の門をたたく**えるえす。
- 正統派図書館漫画、誕生!/埜納タオ「夜明けの図書館」 - 図書館学の門をたたく**えるえす。
- 第5回図書館系勉強会「アメリカ図書館法について:その管理と運営を中心に」 - 図書館学の門をたたく**えるえす。
11月
12月
2011年は合計35件の記事を書いていました。2010年は28件だったので、少し増えたでしょうか。やはり図書館系勉強会を開催したことで定期的にその記録を公開していたことなどが大きいと思います。ちなみに、最もブクマを稼いだ(読まれた?)記事は「初めてデジイチを買ったカメラ女子が写真を撮れるようになるまでに読む本 - 図書館学の門をたたく**えるえす。」でした。カメラ女子パワー恐るべしですね。
来年も、趣味も交えつつ、図書館に関する話題をお届けできるブログでありたいと思います。私生活上では、人生で最も大きな課題を来年に繰り越すような状態で色いろあるのですが、来年も自分が好きでいられるような自分でありたいと思います。ではでは、皆様よいお年をお迎え下さい。
第9回図書館系勉強会の記録「地域経営と政策決定」
筑波大学の隅っこで開催している図書館系勉強会の記録です。第9回の今回は「「地域経営と政策決定」をテーマに発表していただきました!記録はid:min2-flyさんによるものです。
今回も同様に、個人の主観の入った調査による発表であること、またそれが他人が聞き取れる範囲での記録になっていることをご理解いただきつつ、ご覧いただければと思います。
発表の記録
はじめに
- 政策とは
- 「政治が追求すべき目標とその達成の計画を示すもの」
- 国、都道府県、市町村レベルなど色々なところで行われる
- 広義では企業や人生の戦略も含まれる
- 今回扱うのは・・・地方自治体の図書館政策
- 2000年代以降・・・構造改革が大きな変化
- 図書館政策にも大きな影響
- 改革大綱・集中改革プランの中で図書館の指定管理・業務委託についてもよく触れられる
- 一連の改革は相互に連関しつつ図書館に大きな影響を与える
- 2000年代以降・・・構造改革が大きな変化
- 図書館政策を考えるときに:そもそも地方自治体の政策決定はどのように行われているのか?
- 考える必要がある
地方自治体の政策形成の歴史:背景程度に・・・
以下の話については下記の参考文献も参照のこと
- 作者: 阿部孝夫
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図書館政策の現状と課題―国・自治体の行政計画を中心とした (1985年)
- 作者: 大串夏身
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- 発売日: 1985/11
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- 明治以来の地方自治体の政策形成
- それまでの政策は国内だけ
- 明治維新後、欧米諸国による植民地化への恐怖が根源に
- 薩摩・長州を中心に、下級公務員が政治を実施
- 政治中枢はブレーキor追認の判断のみ行う
- 政策の根幹・・・富国強兵、殖産興業、文明開化
- 1930年頃・・・戦時体制
- 中央から地方への補助金負担が増える
- 戦後:1940年代
- 復興・経済発展を国民や指導者は求める
- 政策の体系化はなされない
- 政策体系の欠如が戦後の政策決定混乱の原因?
- 一方で民主主義の方針にあわせた諸政策の立案はあるが、リーダーによるものではなく現場役人による
- 経済官僚主役の時代
- 復興・経済発展を国民や指導者は求める
- ここまでの特徴:
- 1960年代以降・・・公害問題が大きくなってくる
- 1970-80年代・・・オイルショック/財政の逼迫
- 2000年代:
- これからの地方自治体と政策は?
- 「地域の自主性〜関する法律」(一括法)
- これまでの国の義務付け・枠組み見直しのために、条例制定権の見直しや、権限委譲に関する法律をいっぺんに改正
- 図書館に関連すると・・・図書館協議会に関連する法律が改正される/協議会の裁量が増える
- 詳しくはid:humotty-21のブログ参照
- 地域決定型地方税制特例措置(わがまち特例)
- 「地域の自主性〜関する法律」(一括法)
政策の形成の過程について・・・ここからが本題?
- 政策はどういう構造でできる?
- 「単位政策の因果関係」を前提におく
- 単発ではなく「これにはこれが必要、これとこれは関係しているから・・・」というのを前提に置く
- より中庸的な目的の単位政策が上位に
- 上の政策を実現するための下位の具体政策ができているかのチェックが重要
- 「単位政策の因果関係」を前提におく
- 具体的にどういうふうに作られる?
- 1. 政策課題の決定
- 限りある政策資源の配分が可能な範囲でしか政策立案はされない
- 公益性、問題の大きさ、政策主体の権限の責任と範囲、の3要件が満たされないものは政策課題として認められない
- 限りある政策資源の配分が可能な範囲でしか政策立案はされない
-
- 公益性?
- 公の福祉に合致するか
- 図書館の公益性?・・・公共事業/公教育
- ほかの公益性:外交・防衛/社会福祉
- 公益性?
-
- 問題の大きさ?
- 質的大きさ・・・問題の因果関係が複雑で大きな広がりがある
- 量的大きさ・・・数量的に大きな広がりがある
- 一般に両者には関連がある(質的に大きいと量的に大きい、的な)
- 図書館の場合・・・個人が本を読んでないのは私的な問題だが、人数が多いと量的に大きくなり、政策課題になりうる
- 問題の大きさ?
-
- 責任と範囲?
- そもそもその問題は行政の守備範囲か?
- 実質的に図書館に最も影響・・・民間でできないか/税金でまでやらないといけないのか/やらないといけないのはわかっていても金がない、etc…
- この財源が問題にあって民間委託/3セクへ
- 責任と範囲?
-
- 3つが認められると政策課題になる/図書館政策をやりたいなら、この3つを根拠として示さないといけない
- 2. 政策の立案
- ピラミット型に連鎖する政策体系を明らかにすること
- 上から順に階層をなす
- 第一段階の目的の設定⇒実現のための基本構想設定⇒基本計画を設定⇒実施計画の明確化
- ピラミット型に連鎖する政策体系を明らかにすること
- 3. 政策の決定
- 立案された政策は決定権限を持つものが正式に決定してはじめて次のステップ、「執行」へ
- しかし実質的な決定は計画の中で既に行われているなど、過程全体にちりばめられている
- より下位の政策決定も上位の政策に従って行われる
- 政策決定とは「意思決定」である
- そこに必要なのは決断力
- たくさんの中から1つだけ選ぶ/たくさんのものを消去法で減らす
- 1つだけ選ぶ・・・ときどき間違える、といった欠点
- 消去法・・・タイミングを逃す、といった欠点
- 政策の決定で政策づくりは終わり
- 立案された政策は決定権限を持つものが正式に決定してはじめて次のステップ、「執行」へ
ディスカッション
- Q. 政策形成の過程は国も同様?
- A. 基本的に同様。権限の範囲等は違うが・・・
- Q. 省とか色々あるけどどうなの? 「国としての総合計画」がある?
- A. そのあたりは違う。公益性等の要件は同じ
- Q. 政策の見直しはどのタイミングで行われる?
- A. あまり行われないが「時のアセスメント」のような例も
- Q. 財源が増えたなど、使える資源の幅が増えたときにも政策の再評価は行われないの?
- A. 縮小はされても広がった例は聞かない
- Q. 実際の計画は誰がたててるのか?誰に言ったらどう出来るのかはわからない
- A. 実際にははっきりしない.各自治体の公務員がたているとは思う
- 選挙で市長だけをかえても,何も変わらない感がある。やはりそこに実際の作業を行う公務員と市長がどう関わっていくかが大切なのだろう
- その他の問題として,総合計画と一致してない事が欠陥である。だから現場の(公務員)の裁量が大切.勿論,首長などが理解があると良い影響も多い。その中で,相模原市の例はかなり細部まで計画が建てられている.市長も理解があって,しっかりと指示を出しているのかもしれない。また,政策課題の段階で図書館がしっかり認識されてれば,違う面もあると思う
- 単純にどういう風に決まって行くのかが気になる。実際には生臭い所もあるだろうので,そこらへんも可能なら調べられたら面白いだろうけど,難しいだろう.特に今の事は,現職の人が関わっているから調べにくい事も.逆に昔の事だったら,当事者は既に故人となっているので,調べやすい
- 中津川の事例にあるように.もやっと決まっているのでは?政策として首長が認識していたとしても,それが盛り込まれるとかとうとはっきりとは言えない.
- Q. 図書館どこにたてるかの場合は?
- A. 立案が出た時点で,政策は決定しているともいえる。だから,立案を行う公務員も力を持っている
- きっと決める時も,何かしら検討や調査があるはず。その際は,下位の職員が色々と細かい決定を行っているであろう。もし,その中でいい加減な面があれば,色々と影響するだろう。
- Q. 全ての事業で基本構想で決めてるのか?基本構想がない事もある?
- A. ある.偶然見つけた相模原市はしっかりしている.
- Q. 基本構想が無くても急に,下位の構想・計画で出てくる事も?
- A. ある.行政政策という形もとらない事例もある。下水道の整備の場合等。だから,方向性がぐだぐだで決まってしまう事もある
- Q. つくば市の場合は,基本構想等はあるのか?
- A. あるのでは…?
- Q. 地方に権限を投げる際に,広範囲の事がより小さな市町村レベル等にも影響するのか?
- A. 改革派の人は委譲することを積極的に下位の自治体を薦めることがある
- Q. それでは,どんどん委譲して行く流れなのか?
- A. 多分,そんな感じなのでは?つくばは財政的に余裕がある
- Q. 政策形成は国も同様?
- A. 多分一緒。公共政策も一緒.基本は同じ.住民を「国民」に変えれば良い
- 組織の構成も国と地方では同様なの
- 国会政策は省庁ごとに決まって無い?国家の総合政策ってあるの?
- 3要件はあるけど,3段階は無い.
- でも教育政策等ではありそう?
- 昔は富国強兵などあったけど,今は?
- Q. どのタイミングで,見直しを行ったりするの?
- A. 時のアセスメントなどは見直しの例
- Q. 時のアセスメントって実際にどういうことをやったの?学校の授業等で習ったりしたけど。なんだかよくわからなかった.
- A. 市民のニーズ等の変遷に会わせて,色々と計画等を見直し,修正して行こうという取り組み。
- いろいろと時のアセスメントの事例を見る
- Q. タイミングの話の続きだが,予算が増える事になったりした場合などにも修正は行われるの?評価の事とも関係して,可能な中での計画が大切だが,可能な範囲が広がった場合は?
- A. 縮小は考えやすいが,拡大は?
- 総合計画の段階ならあえて柔軟にしたりするのもあるのだろう.総合は10年単位でも,その下位の計画は3年単位だったり
- 総合計画は10年20年.下位計画はより短い期間で設定されている。計画が予想以上に進んだ例もあり10年かかる計画が5年で終わった事例もある
おわりに
次回の開催は2012年1月20日(金)になりました。みなさま、良いお年をー!
初めてデジイチを買ったカメラ女子が写真を撮れるようになるまでに読む本
先日はじめてのデジイチ(デジタル一眼レフカメラのこと)を購入してから、撮影の勉強をするために何冊か写真に関する本を購入して読んでいました。今日はその本のレビューをしたいと思います。
PENで撮るかんたんかわいい写真:思いどおりのイメージでたいせつな時を残すレシピ集
PENで撮るかんたんかわいい写真 ?思いどおりのイメージでたいせつな時を残すレシピ集 (美術のじかん)
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最初に購入する本は、やっぱり自分の持っているデジイチ*1に合った本を買いたくて、PENの本を買いました。この本ではPENのE-PL1、E-P1、E-PL2までの機種に対応して操作方法を写真で詳しく解説してくれています。初めてデジイチ(PEN)を買ったけど、使い方がよく分からない…そもそもデジイチって何?という初心者カメラ女子にぴったりの一冊です。撮影方法もフィルターやシーンの撮影例から入るため優しく、後半には少しですが絞りやシャッター速度の説明もあります。ただ、フィルターやシーン撮影に飽きてきたカメラ女子にはちょっと物足りないかもしれません。
カメラと連れてく撮影手帖
『カメラとつれてく撮影手帖』 お散歩、旅、大切な行事でうまく撮るためのスナップ歳時記
- 作者: 山岡麻子,角田明子,嶋本麻利沙
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本書で使用しているのはキャノン EOS Kiss X4ですが、様々なシチュエーションでの「撮り方」を説明しているので、別の機種のデジイチでも大丈夫な一冊です。一年の四季に沿って、いろんなシチュエーションでの撮影について分かりやすく解説しています。例えば「淡いピンクの桜の花をふんわりと(春)」から「お祭りのにぎやかな雰囲気を出すには(夏)」、「雪をふわふわ真っ白に撮りたい(冬)」など、分かりやすい見出しがついてあり、通読するのではなくシチュエーションごとに選んで読んでも面白い構成になっており、タイトル通り、旅行や散歩に携帯して行きたくなる内容です。
心に響くカッコイイ写真が撮れる!
心に響くカッコイイ写真が撮れる!(DVD付) (COSMIC MOOK)
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デジイチにも慣れてきて、技術的な用語にもちょっぴり詳しくなると、それまでの解説書では物足りなくなってきます。本書は”絞り”や”シャッタースピード”、”ISO感度”などの専門的な技術に基づいて、様々なシチュエーションでのベストな撮影方法を記載していますので、もっとデジイチを使いこなしたいと感じている人にぴったりな解説書になっています。カメラの機能だけでなく、フレーミングや構図、光、ノイズなどの撮影テクニックにもしっかりと触れられており、カメラ女子から一段上の写真を撮るためにぴったりです。
たのしい写真が撮れる107の方法
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解説書もちゃんと読んだし、技術的なことも覚えた。けど、なんだか写真が物足りない…そんなときにぱらぱらとめくりたいのがこの本です。本書はデジイチや写真の技術的な解説書ではありません。どのページも、見開きの左に著者のケヴィン・メレディスが撮影した写真があり、右にそのちょっとした説明が書かれています。説明も10行ないくらいのワンポイントアドバイスで、掲載され得ている写真も日常のほんのヒトコマを切り取ったようなもの。ただ、そのヒトコマがとてもセンスが良いものばかりで、読んでいると「こんな写真もアリなんだ!」と驚かされます。写真ってこんなにわくわくするものなんだ、と思い、読んでいるとなんだか自分のセンスもちょっぴり磨かれた気がする、そんな一冊です。
おまけ
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雑誌とか全然読まない自分でしたが、写ガールはすごく好きで買ってしまいます。隔月なのでそう多くないですし、忘れた頃に写真のワクワクに触れさせてもらえるので、楽しみにしています。
第7回図書館系勉強会「日本における図書館員養成の歴史:klisへの歩みを中心に」
筑波大学の隅っこで開催している図書館系勉強会の記録です。第7回の今回は「日本における図書館員の養成がどのように行われてきたのか」をテーマに発表していただきました!
きっかけ
- (大学)図書館員の継続教育・研修と養成は表裏一体
- 逃れられない、図情OB・OG
- どこにいっても関係者がたくさん
- しかし、自分たちはあまり図情について知らない
- 図書館職員養成の変遷も合わせてみる
図書館員養成の黎明
- 近代以前
- 各図書館がそれぞれやり方を引き継ぎながら、師弟制度
- 出版される本の数も少なく、利用者もごく一部だった
- サ-ビスも閲覧や組織化。今ほどサ-ビスの数は多くない
- のんびり、じっくり育成できたのでは。完全なるOJT
- 現代
- 教育の普及、識字率の上昇により、利用者も増加
- サ-ビスも多様化してくる
- 図書館員の質と量が問題になり、図書館員の団体(ALA)が組織されていく
- Scool of Library Economyの開設(1887年)
- メルベル・デュ-イの尽力
- 実務教育が中心
- 当時は大学院は男性が中心だが、SLEは女性がほとんどだった
- コロンビア大から追い出されるが、ニュ-ヨ-クに移る
- 図書館サ-ビスの標準化に寄与した
- 卒業生が図書館学校を設立するなども
日本おける図書館員養成
- 第1回図書館事項講習会(1903年)
- 2週間
- 正科と課外講演
- 詳しくはスライド9に
- 第1回全国図書館員大会(1906年)
- 文部省に職員を養成する講習を開催するよう建議を提出
- 文部省による夏期講習会(1908年)
- ただしわずか2科目であった
- 経済的に弱かったため
- 図書館員教習所(1921年)
- 図書館員講習所(1925年)
戦前の図書館員養成
- 図書館員養成所同窓会同窓会三十年記念誌
- 「三十年徒に月日が流れただけの…貧弱な姿」
- 建物も良くはなかった
- 図書館員教習所から講習所
- 24年間で532名
- 女性が146人
- 資格は中学または高等女学校卒業した者、もしくは現職者
- 後に応募者多数により入学試験を設けるように
- カリキュラム
- 英語だけでなくドイツ語、フランス語、自然科学なども
- 語学に力を入れ、図書館学以外の学習も行なっていた
- 修了生だからといって図書館に就職できたわけではないのは、今の現状とも似ている
- 戦争の影響で、1945年に閉鎖、終戦
- 24年間で532名
- 文部省による検定試験の実施
- 1937年から1943年まで7回実施された
- 7回で113名が合格。内講習所修了生が102名
- 本来は講習所生以外が対象だったが実質は修了生が多数を占めた
- 合格したからといって、待遇の改善などが約束されていたわけではなかった